気づいたら死亡率95%の漫画の世界だった【名探偵コナン】

＊主役、私 ページ2

あれから一週間、事件が起きることもなく平和に過ごしていた。
今日は文化祭だ。私の通う女子大の演劇サークルは東都大とのインカレであり、サークルの割にはクオリティも高くてうちの文化祭では目玉と言っても過言ではない。そして、厳しいオーディションを勝ち抜き、主人公に大抜擢された私が本日の主役と言っても過言ではない！！


ちなみに、演目は「ハムレット」である。


ハムレットの恰好に扮して舞台裏で台本を確認していると、同じく演劇サークルである東都大の杉原くんがこちらへやって来た。物腰柔らかで優しく、平和が体を表しているような感じの好青年だ。


「三浦くん、相変わらずかっこいいね」
「ありがとう。まあ、私の取り柄は顔がいいところだけだからね！」
「ポジティブなのかネガティブなのかよくわかんないね……？？」


そういえば、後で三浦くんに会いたいって言ってる子がいるんだけど、と杉原くんが控えめにそう話した。なんでも彼の後輩なのだとか。杉原くんの後輩なら良い人で間違いなさそうなので、二つ返事で「もちろん」と了承した。


︙

『以上を持ちまして、演劇サークルによる「ハムレット」の公演を終了させて頂きます――』


……舞台に立っている途中、見覚えのあるような少女二人を見かけたのは私の気のせいだったのだろうか。あれって確か、コナンとよく一緒にいる――いやいや、見間違いかもしれない。
お疲れ様でした、と一人一人に声をかけながら、そんなことを考えて部室へと移動する。着替え終わったら行きますと連絡をすると、正門前の噴水で待っていると返信が来た。


ごそごそと着替えながら、ここの世界について考えを巡らせる。
――正直、ほぼ覚えてない。
アニメは観てたけど20年も前の事だし、登場人物はうろ覚えだし、あの黒い組織もコードネームがお酒の名前だってことくらいしか……あの薬なんていうんだっけ……アパ？ トポ？ トッポギシン4444……？？ たぶんそんな感じだったようなアレのことだ。あとめちゃくちゃ人気だったトリプルフェイス。誰だったかは覚えてない！！


と、ご覧の通り、合ってるかさえもわからない曖昧な情報しか私は持っていない。正直、まあなんとかなるかな〜？ ってくらいにしか考えてない。それよりも普段起きている事件のほうがよっぽど身の危険を感じる。


携帯を弄びながら噴水の方へ向かっていると、「スリだ！！！」と子供の叫ぶ声が聞こえた。

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