6話「ごめんの2乗」 ページ6
騒ぎすぎたらしい。「誰? 何してんの?」という声と共に扉が開かれる。咄嗟に堀田のジャージを奪って体に巻きつけて背中に隠した。
「え、金田一? と、堀田さん…? ……え、何その状態…」
花巻さんだ。俺の脳内で「この人に知られてはいけない」と警鐘がなる。つーかこれは俺の胸の内に留めておくべきだ。しかし今の俺達の格好は怪しすぎる。ジャージで簀巻状態の堀田とそれを隠す俺。「何その状態」と聞かれても仕方がない。
「な、何って…まあ…」
「エッ…」
微妙な空気になった。ああ俺耐えられない…! なんか喋ってくれよ元凶!! 助けを求めるつもりで振り返ると、目を逸らされた。ふざけんな!! ここは、何か喋って言い訳を…!
「…わ、」
「わ?」
「脇毛が20センチ台に到達したって聞いて!! 世界記録頑張ればイケるって励ましてました!!」
沈黙。非常にごめんなさい、堀田。
錆びたブリキのような動きで首を堀田に向けた花巻さんは、「堀田さん……それ、マジ……?」と蚊が鳴くような声で問いかけた。
「…………マジです」
こちらも蚊が鳴くような声で答えた。
「そ、そうか…頑張れよ世界記録…」
「……はい」
「じ、じゃあ俺、戻るから…相談とかいつでも聞くから…」
「……はい」
音を立てずに扉を閉めたのは花巻さんなりの優しさなんだろう。今はその優しさが傷に塩を塗り込まれている様に痛い。痛すぎる。
俺は振り返って頭を下げた。
「堀田…ごめん…」
「ううん、ありがとう…そしてさようなら私のイメージ……」
「ごめん…」
︙
「…岩ちゃん」
「なんだよ」
「なんか今日さ、挙動不審な奴多くね?」
「多いな」
マッキー、金田一、千冬ちゃん。あの3人、なんか今日調子悪い…?
「ま、いっか」
そのうちなおるだろう。
そう思っていたが、その日はずっと挙動不審だった。帰りにマッキーがこっそり「お前も堀田さんが相談してきたらちゃんと聞いてやれよ」とやけに思い詰めた表情で諭された。一体なんの話だろうか?
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時