戦える５０ ページ1
『貴方が、力さえ捻じ伏せられるくらい強くなれたなら、或いは』
そう言って母は言葉を切る。その先を聞かせてもらえたことなんて一度もない。
外界から隔離され、外に出ることを許されず生きてきた。家に押しかけてくる松や花、子供達の話を聞いて、外に出たいと願った。そして、それからは母に秘密で何度も家を抜け出すようになる。そこでたくさんのことを知った。超能力があるのも知って、自分もそうであることを悟った。そして、自分のようなEランクは虐げられるのだということも外へ出てやっとわかった。そんな折、若利さんに出会う。
『私は本当は家を出ちゃだめなんだって。だけど外は楽しいから、どんなに虐げられても、母さんに内緒にしてでも、外の世界がほしかった』
『そうか。俺は外と共に生きてきたから、その感覚はわからないな』
でも、本当の自由を手にしたいなら、強くなれ。若利さんはそう言って、私に稽古をつけた。
そして、ある日母から言われた言葉。
『まずは、貴方が自分を守れるくらいに強くならなくちゃ』
母は優しい顔で笑った。連れてこられたのは、山奥にひっそりとたつ道場。
そこで、超能力をもたない、けれどとても強い人達に出会った。
こんなふうに、強くなりたい。
母を安心させてあげたい。
吸収できることは吸収した。何度も何度も死にかけたし、何度も吐いた。泣いた。痛かった。だけど、今まで一度も勝利できなかった相手から、勝利をもぎ取った時。
『っ、うぉあああああああああ！！！』
雄叫びを、あげた。
『やったなあずさ！！』
『スゲェよお前！！』
『よっしゃ今日はパーティーだああ！！』
『負けた方の心配はナシですか！？』
皆が私の勝利を自分の事のように喜んでくれた。多分、ああいうところが一番お互いを高め合える場所なんだろう。あの頃の思い出は、今でも私の支えとなっている。
だから。
「俺らEランクなんて、どうせ」と諦めてほしくない。
勝ちたいと思ってほしいし、自信だって持ってほしい。
私はEランクで、彼らもEランクで、環境が違っただけでこんなにも意見が違った。
だけど、今は違う。「諦めない」といったから。私は。
「ねえ、勝とうね」
今を変えてゆきたいのだ。
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油揚げ(プロフ) - 設定とかすごく面白くて，ついつい一気に読んでしまいましたwこんな素敵な作品に出会えて良かったです！ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page21 id: 19252ecbde (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - レイさん» 返事が遅くなり申し訳ありません！なんと3DSの時から！とても嬉しいです……！気が向いたときにでも読んでくださると嬉しいです(*^▽^*)コメントありがとうございます！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 更新ありがとうございます！自分がスマホ持ってなくて3DSの時から読んでいてお気に入りだったので嬉しいです！無理をしない程度更新頑張ってください！ (2020年3月26日 22時) (レス) id: 860c0e78fc (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - あぐりさん» コメントありがとうございます！そしてお待たせいたしました！変わっていく兄妹と、その周りについても書いていきたい所存でございます！お楽しみ頂けて幸いです……！ありがとうございます！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり(プロフ) - 更新ありがとうございます！ ずっと待っていたので更新されて嬉しいです！ここからの夢主と及川さんの兄妹としてどんな風に関わっていくのか楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: e34e873475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2017年1月22日 16時
