3.A Whopperjawed Wish with "Energetic Athlete" ページ4
『場違いな希望と活気に満ちたアスリート』
「その人どうしたのよ、ドワイト。」
明るい茶色の三つ編みをした女子がAに気付き声をかけてきた。
おそらく高校生か大学生前半くらいの年齢だろう。
「やぁメグ,クローデットが連れてきたんだ。森で彷徨ってたみたいで」
そうなの、とメグと呼ばれた彼女はAを見やるとニコっと笑った。
薄暗い森の中で見るとは思わなかった笑顔に,Aは一瞬固まった。
「あたしはメグ・トーマス、よろしくね。アナタは?」
「わ、私はA」
よろしくお願いします、と言えなかったのはやはり境遇の差のせいだろうか。
「みんなを紹介するわ,ついていて」
そう言って彼女は再びにこりと笑った。
残念なことに工具箱や救急セットのチェック,不思議な効果を得られる花等の採取でタイミングが悪く他の人はあまりいなかった。
「あたしはね、ここに来る前陸上をやっていたの。走ることが本当に大好きでさ」
「私も走るのは好きだよ!でも体力がなくて…短距離走だけ得意だったかなー」
思わぬ共通点に心が躍る。
この世界で,好きなものの話が出来るなんて。
「体力ねー、あたしも最初はなかったけどやっぱ練習あるのみよ」
「そっか、でも走ることは楽しいからね」
「そうだねー」
ニコっと笑った後,でもここだと走って逃げることはあまりよくないみたいだね、と悲しい声色で呟く。
走って逃げることは必要だが,走って逃げ続ける獲物を仕留める欲を湧き起こさせるようだ。
その故に発電機の修理をスムーズに行ってもらうべく,メグは殺人鬼の気を引く役を担うことが多いようだ。
「まぁそのおかげで発電機は直るんだけど,あたしがよく吊るされちゃうわ」
苦笑を漏らすその横顔は苦痛と憎悪が滲み出ていた。
なんて声をかけていいかわからない、わかるはずがない。
Aは痛みを知り得ないのだから。
「あ、ごめんね!確かに儀式は最低で絶望的だけど,大丈夫よ。みんなで協力して生き残るからさ」
「うん、そうだね……」
絶対ここから脱出してやるー!、と切り株の上で腕を上げのびるメグ。
焚火の周辺にいたドワイトとクローデットはそんなメグを見て笑った。
彼女のエネルギッシュな性格は,殺戮の毎日で精神を保つために必要なものなのかもしれない。
笑顔を絶やさない彼女はAを見て頑張ろう、と笑った。
『追われる者の屈さぬ笑顔』
4.A Joyful Talk with "Urban Artist" and "Determined Survivor"→←2.Unwelcome Visitor with "Nervous Leader"
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つぅさん(プロフ) - わかなさん» コメントありがとうございます!持ち上げられてもなにも出ないですよ…これからも頑張ります:) (2018年12月19日 10時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 面白すぎです!つぅさん本当に文才あって、のめり込んで読んでしまいます! (2018年12月14日 15時) (レス) id: 0e1628288f (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!殺人鬼と夢主の日常は日替わりの方では書いてありますが,このような短編の形でも書けるよう考えておきます:)ご意見ありがとうございました:) (2018年10月4日 15時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 初めて拝見させて頂きました!DBDが大好きな私にはご褒美です…!とても面白かったです!夢主ちゃんと殺人鬼さんたちの日常が気になる… (2018年10月3日 21時) (レス) id: a228f8b665 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - 凛眞さん» いえいえ,ご指摘ありがとうございました。非公式wikiではアンナですから正直なところ難しいですよね…ここではアナになりますが,どうぞよろしくお願い致します。 (2018年4月21日 21時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つぅさん | 作成日時:2018年4月1日 5時