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目の前に座り込み、微笑ましい笑みを浮かべる彼女。
その雰囲気は絹のように柔らかくて、2人だけだなんて意識し始めるとそれはまさに恋模様だった。
しなやかで白い指先がスっと右耳に行き、そのままふわっとした髪の毛を耳にかけた。その動作を追うと
必然的に彼女の幻想的な目も視野にはいるので、更にその圧倒的な美しさに惚れ惚れしてしまう。
「君は本当に美しいね…」
『ご冗談を』
「事実さ。君は目に見えない場所も綺麗だが、見える場所も実に綺麗だ。魅入ってしまうよ」
『口説き文句が上手ですね。…でも私もウィリアム団長の目。好きですよ。…紫なのに奥深い青もうっすら……宝石で言えば、そうだ、タンザナイトですかね』
Aの悪気のない真っ直ぐな言葉に、ウィリアムはしばしそのタンザナイトの目まん丸にした。そして
直ぐに嬉しそうに笑い、Aを見つめながら声を出した。やはり聞き惚れる声だった。
「偶然だね、私もタンザナイトが好きなんだ。…私の誕生日は12月でね。そして12月の誕生石はタンザナイトなんだ、だから数年前までは所持していたよ」
『さては、彼にあげちゃいましたね？』
「あはは、バレたか。そうだよ、パトリが好きな色合いだったらしくてね」
『ウィリアム団長らしいです。本気で人の幸せを願って人の不幸を悲しめる…人間にとっては何よりも必要な事です』
その何気ないAの一言で、ウィリアムは少しだけ目を丸くさせた。驚きよりも悲しみが勝っている。
タンザナイトと直喩されたその目は、月明かりを跳ね除かすが如く、Aだけを見つめていた。
「……そうかい。」
『ふふ、意外とでも言いたげですね』
「実際、そうだからね。君から心情を優先的に選ぶ様な言葉が出てくるとは。明日は雷かもね」
『私がこの王国におとしてあげましょうか』
「君が落とす雷は、…甘そうだね。でも、君が落としたのなら私はうたれても良いかもしれない…」
その重低圧な含みを持った声にAは、体がそれこそぴりぴりと電流が流れた様に身震いした。
頭だけ甘い麻薬かチョコか何かで、浸されている様な、そんな希少な感覚がした。
しかしながら、嫌ではなかった。
『……抱きたいんですか？』
純粋な質問であった。
敵であるはずの女を部屋に連れ込み、悩みを打ち明けて話をしたいと。しかも綺麗だねと口説く。
勿論彼の自室であるからベッドもある。こんな状況は勘違いする程の滑稽さだ。
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グリム(プロフ) - 凄く面白いです！続きが凄く気になるので、更新をいつも楽しみにしています！ (2022年11月26日 15時) (
レス) id: 66f712e8a8 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ - ヤミさんオチが良いです！！！！！！！！ (2022年7月8日 22時) (レス) @page21 id: 3413745361 (このIDを非表示/違反報告)
天宮広海(プロフ) - 面白いです!続きが気になります！更新頑張ってください! (2022年3月7日 19時) (レス) id: 85bad9f447 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるく | 作成日時：2022年3月3日 3時
