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「今のメンバーをどう充てるべきか…」
「いやまずは城周辺の守りを」
Aは、思考が遅いなあと、あちらで欠伸をしている不動の元へと寄った。
不動は気がついたのか、Aに近づいて声を出す。
因みに不動の体も声もA以外には全く見えないし聞こえないので心配はない。
〔どうした、わんなのAよ〕
『君のではないけれど…まあいいや』
〔わんなの声は不純物共には聞こえぬが、Aの声は聞かれるぞ?〕
『知っているよ。だから聞いてくれ』
〔ん?〕
『………ケースバイケースと、覚えていてくれ給え』
〔…成程のう……お主も殺されぬ様に〕
Aはその不動の言動に、お前もだろと笑って
あちらで集まっている魔法騎士団達の元へと向かった。
Aはこれから団長の代わりをしなくてはいけないからだ。
「私に指揮されるのは癪だろうが、聞け!!魔法騎士団員!
私は此処で今不在の魔法帝に代わり、城周辺の指示と王の護衛を行う!
その為Aは、レオと暴牛の小僧を追い合流した後に北区に向かえ!暴牛の娘も着いていけ!!
銀翼の大鷲は敵の魔力量が最も大きい中央区を頼む!……」
フエゴレオンのその言葉に、それぞれが自分がすべき事のために動く。
ノエルはAに着いていけということで、ほっと安心しているようだったが
気に食わない者もいる。金色のアレクドラはフエゴレオンに近づき凍てつくような目線で
Aを見つめながら言った。
「待って下さい…何故その下民風情が我々の代わりを…」
「Aは私が認め、そして我々同列の力量を持っている。妥当だと判断したのは私だ。
万が一の場合は、その責任を私も背負う。」
「……フエゴレオン団長がそこまで言われるのなら…分かりました」
アレクドラは言動とは真逆に、隣に立つAをキッと睨みつけて
去っていった。一方Aは気にする様子は見せずに、ノエルと一緒に
ドアの方へと向かい……
『フエゴレオン団長、信用してます』
と、にこやかに、嘔吐襲撃など嘘のように笑って言った。
「…それは私の台詞だ、Aよ」
最強に近い獅子も、また同じように緩やかに笑った。
その頭の中には、包帯の少女しか写していなかった。
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作者名:みるく | 作成日時:2022年1月5日 18時