歪な愛 32 ページ33
Aは携帯電話に映る地図と目の前の建物を見比べた
「ここかな…？」
もう一度地図を見る、確かに、ここのようだ
赤煉瓦作りのレトロなビルへと入り、エレベーターで４階を目指す
たどり着いた"武装探偵社"のプレートの扉の前で、Aは深呼吸した
覚悟を決め、Aは扉に手をかけた
「何か御用ですか？」
後ろから降ってきた声に、Aは軽く悲鳴を上げて振り向いた
すると、眼鏡をかけた背の高い男性がAを見下ろしていた
「すみません、驚かせるつもりは無かったんですが」
眼鏡をかけ直す男性に、Aは言う
「太宰治さんに用がありまして」
すると、眼鏡の男性は眉を上げた
「何？太宰…また彼奴…女性を」
何やらぶつくさ言い始める男性に戸惑っていると
「彼女は私の依頼人さ」
後ろから更に声がし、二人して振り向くと太宰が立っていた
「あ、太宰さん」
軽くお辞儀をすると、太宰は片手を上げた
「やぁ、久しぶりだね、ごめんよ、今少し出掛けていたもので」
さぁ、と扉を開けられ、中へ促される
太宰とAが入った後で、眼鏡の男性ー…国木田独歩は呟いた
「彼奴に依頼人…だと！？」
中に入ると、もう夕方を過ぎているということもあり、探偵社内は人が居なかった
眼鏡の男性が入ってくると、太宰は「国木田君、悪いけどちょっと席外しててくれない？」と言った
彼は国木田君と言うらしい
その男性は渋々言いながらも、戸惑うAの様子を察したのか、席を外してくれた
夕陽が差し込む探偵社内には、太宰とAの二人だけだった
「それで…相談って、何かな？」
微笑を浮かべつつ問う太宰に、Aは重々しく口を開く
「相談は…最近、ヨコハマで起こっている、家族一家が誘拐されるという事件についてです」
相談内容を話すとー…太宰は微笑を崩し、眉をぴくりと動かした
「…何故君のような一般人が？」
その質問に、Aの鼓動は緊張で鳴り出す
半分、言ってはいけない気が、半分、言っていいような…いや、言わなくてはいけない気がする
「私…その誘拐事件の被害者なんです…そして…」
「中原中也…彼の恋人です」
真実を告げると、太宰はその鳶色の瞳を大きく開いた
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ぷひぷに - とっても面白かったです！続き楽しみにしてます！ (2022年1月27日 22時) (
レス) id: 512a7a8549 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます！とっても楽しんで読んで頂いたようで、とても嬉しく思います！なるほど、そうなのですね！中也さん格好ですよね！私も大好きです（笑）(*´∀｀*)そこまで言って頂けるなんて…！恐縮です！ありがとうございます！続編更新頑張ります！ (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もう本当に最高でした最高でした最高でしたぁぁぁー私の名前がともなので、途中にともかともをとも…？ってなって面白かったですww中也さん大好きな私にとってはASさんが神にしか見えません…続編見に行ってきます！！！！ (2017年9月21日 23時) (レス) id: 63685abaf6 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - 中一厨二さん» コメントありがとうございます！中也さんの愛情は無限大です(´∀｀*)お褒めのお言葉光栄です！すぐに直します！ご指摘ありがとうございました！ (2017年8月7日 17時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
中一厨二 - 面白いです！歪な、確かな中也の愛を感じました！（語彙力！）それと29話の赤い花の漢字が違うと思うのですが…。出来れば確認していただければと思います！ (2017年8月7日 0時) (レス) id: 57ede5ac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AＳ | 作成日時：2017年7月5日 19時
