歪な愛 12 ページ13
中也はマフィアの拠点ビルの執務室で印刷した情報を見て息を吐いた
「此奴…」
中也は仕事を終えるとすぐにAの家族の行方を調べたのだ
情報員の情報や、マフィア内のパソコンによると、一連の家族単位の誘拐事件の犯人が浮かび上がった
その男の顔に、中也は見覚えがあったー…というのも、その男は有名な資産家であり、若い女好きの男だった
誘拐された家族の特徴は、若い女がいること
そして、まだ若い女達は見つかっても、他の家族は見つかっていないのだ
(予想すると、女の家族を誘拐して人質まがいにし、女を脅しでもして女を手に入れる…っつーところか)
「下らねェ」
中也は吐き捨てるようにいい、家にいるAの事を想った
(俺は女なら誰でもいいような男と違って…Aの全てを愛してるんだ)
身も、心も、全てー…
「…こんな糞ジジイに渡してたまるか」
男が手を打つ前に、此方が手を打たなくては
Aにこの事を知られる前に、家族を助けてやらなくてはならない
少しでも、Aの心が揺れてしまう前に
中也はそう決意をすると、更に情報を集める為にパソコンへと向かったのだった
一日が終わりを告げても、中也は帰ってこなかった
Aはつまらないテレビを消すと、ソファに寝転がった
自分で冷蔵庫の中を拝借し、料理を作ったものの、全く美味しく感じられなかった
沸かした熱い筈のお風呂も、身体は温まっても、心は温まらなかった
既に冷えてしまった身体を縮こませた
「あの人…遅いな」
ここ最近、嫌と言うほど一緒にいた中也が初めて居なくなり、Aは少なからず寂しいと感じていた
新しく着替えた中也の服から中也の匂いはするのに、存在が酷く遠く感じられる
今朝方触れられた手の体温が、Aには恋しかった
「…早く、帰って来ないかなぁ」
自然とそう呟いている自分に気づくなり、Aはハッとして焦りを感じ始める
「何言ってるの、私…」
きっと、色んな事が次々に起こりすぎて、感覚が可笑しいんだ
そう思っても、寂しいという気持ちに、どうしても嘘は付けず
「…寂しいよぉ」
早く、お父さんに、お母さんに、お兄ちゃんに、会いたい
そうして…何より、一人ぼっちの自分の傍に、中也にいて欲しい
物思いにふけっていると、いつの間にか涙がポロポロ零れていた
その涙を拭いもせずに、Aはしゃくり上げて泣いた
そうして、襲い来る眠気に、ゆっくりと瞼を閉じた
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ぷひぷに - とっても面白かったです!続き楽しみにしてます! (2022年1月27日 22時) (レス) id: 512a7a8549 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます!とっても楽しんで読んで頂いたようで、とても嬉しく思います!なるほど、そうなのですね!中也さん格好ですよね!私も大好きです(笑)(*´∀`*)そこまで言って頂けるなんて…!恐縮です!ありがとうございます!続編更新頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もう本当に最高でした最高でした最高でしたぁぁぁー私の名前がともなので、途中にともかともをとも…?ってなって面白かったですww中也さん大好きな私にとってはASさんが神にしか見えません…続編見に行ってきます!!!! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 63685abaf6 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 中一厨二さん» コメントありがとうございます!中也さんの愛情は無限大です(´∀`*)お褒めのお言葉光栄です!すぐに直します!ご指摘ありがとうございました! (2017年8月7日 17時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
中一厨二 - 面白いです!歪な、確かな中也の愛を感じました!(語彙力!)それと29話の赤い花の漢字が違うと思うのですが…。出来れば確認していただければと思います! (2017年8月7日 0時) (レス) id: 57ede5ac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年7月5日 19時