歪な愛 10 ページ11
目を閉じて布団の中でうとうととしていると、ゆっくりと扉が開かれた
起きていることに気づかないのか、中也は書類を探し出す
目当ての書類を探し出したところで、中也はこちらに目を向けた
「嗚呼…悪ィ、起こしちまったか?」
中也はバツが悪そうに顔を覗き込んできた
そんな中也から目を逸らしつつ「貴方が来る前から起きてた」
と言い、身体を起こそうとすると、背中の傷がズキン、と酷く傷んだ
その痛みに、顔をしかめる姿に、中也は視線をAの背に向けた
「背中…痛いのか」
中也の少し悲しみを含んだ声に頷くと、中也は「ちょっと待ってろ」とだけ言い残し、部屋を後にした
数分して戻ってきた中也の手には濡れたタオル、ガーゼとテープ、消毒液が握られていた
態々持ってきてくれた中也に、Aは躊躇いつつも礼を述べた
「あ…、りがと、自分でやるから、出ていって」
小さな、小さな感謝の言葉
この中也という青年が、少し変わった愛情表現をするが、優しくて真摯な性格だと言う事を、Aは短時間のうちに知っていたからだ
Aの礼に、中也はみるみるうちに目を見開いた
そして、それらを受け取ろうと手を伸ばすと…その手は中也に掴まれた
驚く間も無く、Aは寝台にうつ伏せに寝かされる
「ひっ…!ちょ、何す」
抵抗しようと手足をジタバタすると…いきなり身体が動かなくなった
まるで全身を押さえつけられているような圧に、Aは当惑する
中也はAの身体から手を離すと、呆れたように言った
「背中の傷なんて…自分で消毒できるわけねェだろ」
その言葉と共に服の間から中也の熱い手が滑り込んできた
その手に、Aは身体を肩を揺らす
「やっ!やだ、辞めてっ!」
声を上げるAに中也は淡々と告げる
「嗚呼…俺は重力を操る異能力者なんだ、だから今、お前に重力をかけて動けないようにしてる」
中也はそう言い終えると、Aの服を背中の傷が全て見えるほどに捲った
少し膿んでしまった傷で汚れた服を見て、中也は「お前の服も買わなくちゃな」
自分の背中を見られている、という羞恥心に、Aの顔は熱くなる
「やぁっ…、恥ずかしいっ…!」
消え入りそうな声で羞恥心に耐えるAの耳元で中也は囁いた
「綺麗だ、すっげェ…綺麗だぜ」
その囁きは雫のように波紋を作り、Aの心にしみていった
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ぷひぷに - とっても面白かったです!続き楽しみにしてます! (2022年1月27日 22時) (レス) id: 512a7a8549 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます!とっても楽しんで読んで頂いたようで、とても嬉しく思います!なるほど、そうなのですね!中也さん格好ですよね!私も大好きです(笑)(*´∀`*)そこまで言って頂けるなんて…!恐縮です!ありがとうございます!続編更新頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もう本当に最高でした最高でした最高でしたぁぁぁー私の名前がともなので、途中にともかともをとも…?ってなって面白かったですww中也さん大好きな私にとってはASさんが神にしか見えません…続編見に行ってきます!!!! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 63685abaf6 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 中一厨二さん» コメントありがとうございます!中也さんの愛情は無限大です(´∀`*)お褒めのお言葉光栄です!すぐに直します!ご指摘ありがとうございました! (2017年8月7日 17時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
中一厨二 - 面白いです!歪な、確かな中也の愛を感じました!(語彙力!)それと29話の赤い花の漢字が違うと思うのですが…。出来れば確認していただければと思います! (2017年8月7日 0時) (レス) id: 57ede5ac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年7月5日 19時