コウフクな嘘 6 ページ7
遡ること、約一年前…
Aが仕事で武装探偵社を訪れた際、ちょうど太宰がAの対応をしたのだ
Aは勿論知っていた、太宰が元マフィアの五大幹部であることを
『ねぇ、君さ、安吾の部下でしょ?安吾元気?相変わらず真面目に働いてるかい?』
静かな応接間でにこやかに質問攻めをしてくる太宰に、Aは距離を取りながら、恐る恐る口を開く
『私…知ってますよ、貴方が元マフィアの五大幹部だったという事』
緊張を解かないAに、太宰は気を留めることもなく、両手を後ろで組んだ
『知っているだろうねぇ…異能特務課、兼、マフィアのスパイなら』
太宰の言葉にAは恐怖を覚え、目当ての資料を鞄に詰め込み、扉へと駆け出した
扉に手を掛けた瞬間、その扉を片手で押さえつけられる
背後に気配を感じた途端、太宰は耳元に顔を寄せた
『ねぇ』
先程とは違う声に囁かれ、恐怖にAは肩を跳ねる
『私の質問に…答えてないよ?』
背中に纏わり付くような、そんな声音
まるで、1匹の蛇にじっと見詰められているような、そんな
『あ…』
怖くて、言葉にならない呟きを漏らすと太宰はクスッと笑って声の調子を戻した
『私、もっと君とお話したいなぁ』
その声に恐る恐る振り返ると、今しがた殴り書かれたであろう、電話番号とメェルアドレスの紙の切れ端を手に握らされる
『君の番号も教えて?』
太宰はにこりと笑うと、Aに紙とペンを渡した
突然の事に戸惑いながら電話番号とメェルアドレスを書いた紙を渡すと、太宰は満足そうに笑いー…
『ありがとう…これから宜しくね、Aちゃん』
微笑まれ、挙句の果てにちゃん付けで呼ばれ、Aはすぐさま探偵社を飛び出したのだった
それ以来、太宰は一方的に電話を掛けてきて、
他愛もない話をしてきている
最初はただ警戒心と恐怖を感じていたが、Aは次第に"太宰治"という男を、知るようになった
ある時には悪戯メェル、ある時にはご飯を作れ、部屋の掃除をしろ、と召使いのようにAに言う
当然断るAだったが、太宰は悪どい笑みを浮かべて、必ず言うのだー
『いいの?中也にAちゃんがスパイだって、バラすよ?』
そう、Aは初めて太宰治と出会ったあの日から、嵌められていたのだ
ー…この、太宰治という男に
そんな事を約1年繰り返し、今の状態に至ったのであった
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AS(プロフ) - ピロウさん» うわわ、ありがとうございます…!ピロウさんにそう言って頂けるなんて、夢にも思っていませんでした…!もう双黒が最高なので、愛読させて頂いています!!此方こそ恐れ多いです…!もう歓喜です(泣)再びのコメント、本当に嬉しかったです!これからも頑張ります! (2017年11月10日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - 完結おめでとうございます…!お疲れ様です!最後の一文まで素敵なお話で、流石ASさんだな、と感動いたしました…。て、ていうか愛読して下さっていたんですか!?恐れ多いです…!これからもお身体に気をつけて頑張ってください! (2017年11月10日 21時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - もえさん» コメントありがとうございます!感動して頂いて嬉しいです(*´v`)矢っ張りハッピーエンドが一番ですね!ご指摘ありがとうございます!すぐに直します!これからも宜しくお願いします! (2017年11月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - ASさんの作品は、何時も感動なお話ばかりです。二人が結ばれてよかったです……★P.S.28話の次が30に成ってます……|ω・`)チラ (2017年11月5日 17時) (レス) id: d821d2b418 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ピロウさん» コメントありがとうございます!うわぁあ、ピロウさんですか!中也さんのヤンデレと双黒の短編集を愛読していました!私も小説を読んで本当にキュンキュンしました!沢山のお言葉、とても嬉しいです(*´∀`*)何時も素敵な作品をありがとうございます!頑張ります! (2017年8月23日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年6月27日 16時