コウフクな嘘 2 ページ2
朝、出勤して真っ先に向かうのは、何時ものかの人の執務室
2回軽やかにノックをする
「私ですよ、Aです!」
声をかけるも、中から帰ってくるのは沈黙のみ
Aは沈黙に構いもせず、そうっとドアを開く
机の上に突っ伏すかの人の姿を認めて…Aは嬉しそうに口角をにんまりと上げた
たたたっ、音をたてないように、小走りでかの人の前に回った
「…ふふ、寝てる」
かの人…もとい、彼女の上司である中原中也は顔を机に突っ伏してすやすやと眠っていた
何時もしっかりとしているその顔が、見事に緩められていて、Aはあどけない寝顔を愛しげに見つめる
「…寝てると可愛いなぁ、…なんて、言ったら怒られちゃうか」
Aは呟くと、耳元にそっと顔を寄せて
「なかはらさーん、起きてくだーい」
と、小声で言うと、中也は「んぅう…」と呻き声をあげて重たそうに瞼を開いた
まだ意識がはっきりとしないのか、ぼんやりと此方を見つめる中也に、Aは笑う
「おはようございます、中原さん!」
その笑顔に、中也は見る見るうちにその蒼い瞳を開いて
「うわっ、お前っ」
Aの姿を認めると、バッと後ろへ下がった
「いつから其処に!」
「…さっきから、ですかね?」
首を傾げるAに、中也は顔を片手で覆って呟いた
「マジかよ…寝顔見られたのか…、俺」
項垂れて顔を赤くする中也に、Aは更に愛おしさを覚え、親指をたてて笑った
「バッチリ見ましたよ!可愛い寝顔でした!」
と、素直に感想を述べたAに、中也が更に顔を赤くして怒鳴った声が、下の階まで聞こえたと言う…
「朝から疲れた…」
中也はふう、とため息を着いて背もたれに寄りかかり、眉間を指で押した
顔色が青く、疲れている様子の中也に気づき、Aは部屋の隅にある折りたたみベッドをすぐさま用意すると、中也の腕をぐい、と引っ張った
「中也さん、顔色が悪いです…横になって少し休んでください」
そう言うと、中也は少し躊躇う素振りを見せた後、Aの頭に手を置き
「…ー甘えてもいいか?お前の言葉に」
薄く笑う中也に、Aはこくり、頷く
「勿論ですよ、書類整理ならやっておきますから」
そう返事をすると、中也はAの頭をポンポン、と軽く叩いた
「ありがとな…」
そんな中也の仕草に、Aの鼓動はとくん、高鳴る
ベッドに横になった途端、眠りについた中也に、Aは優しく微笑むのだった
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AS(プロフ) - ピロウさん» うわわ、ありがとうございます…!ピロウさんにそう言って頂けるなんて、夢にも思っていませんでした…!もう双黒が最高なので、愛読させて頂いています!!此方こそ恐れ多いです…!もう歓喜です(泣)再びのコメント、本当に嬉しかったです!これからも頑張ります! (2017年11月10日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - 完結おめでとうございます…!お疲れ様です!最後の一文まで素敵なお話で、流石ASさんだな、と感動いたしました…。て、ていうか愛読して下さっていたんですか!?恐れ多いです…!これからもお身体に気をつけて頑張ってください! (2017年11月10日 21時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - もえさん» コメントありがとうございます!感動して頂いて嬉しいです(*´v`)矢っ張りハッピーエンドが一番ですね!ご指摘ありがとうございます!すぐに直します!これからも宜しくお願いします! (2017年11月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - ASさんの作品は、何時も感動なお話ばかりです。二人が結ばれてよかったです……★P.S.28話の次が30に成ってます……|ω・`)チラ (2017年11月5日 17時) (レス) id: d821d2b418 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ピロウさん» コメントありがとうございます!うわぁあ、ピロウさんですか!中也さんのヤンデレと双黒の短編集を愛読していました!私も小説を読んで本当にキュンキュンしました!沢山のお言葉、とても嬉しいです(*´∀`*)何時も素敵な作品をありがとうございます!頑張ります! (2017年8月23日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年6月27日 16時