作戦参謀と五大幹部サマ【中原中也】

作戦参謀 5 ページ7

中也は書類を机の上に置き、昨日のことを思い出していた


身体を震わせて、苦しげに呼吸をしていたA


その姿は、無愛想で、近寄りがたくて、テキパキと仕事をする作戦参謀の姿は無かった


初めて仕事以外の会話が出来て、感謝されて、正直に嬉しかった


(彼奴もちゃんと笑うんだな)


安心した笑顔を思い出し、中也は口元に弧を描く


「今度話しかけてみるか、ちょっとくらいお互いのこと知れたら、仕事もしやすくなるしな」


中也の中で、Aと仲良くなりたいという思いが生まれた日であった




作成した作戦書を森に見せると、森は「うん、完璧だよ」とにっこり微笑んだ


その返事に、Aは安心して笑う


「良かったぁ……これなら誰も死なずに済むんです」


「……君は相変わらず、眩しい位に優しいね、まるで太陽の様だ」


「首領……気障ですよ」


口説き文句にドキドキしながら笑うと、森は思いついたかのように言った


「そう言えば七瀬くん、今日は何時もより上機嫌だね、何か良い事でもあったのかね？」


問われ、Aは昨日の出来事を思い出した


苦しくて、消えてしまいそうに悲しい中、颯爽と現れて、助けてくれた中原幹部


(後で、中原幹部に御礼しなきゃな……)


「……首領にはお見通しですね」


困ったように笑ってから、Aは話し出す


「昨日、困っていたところを中原幹部に助けてもらったんです」


敢えて過呼吸の話を避けて言うと、森はピクリと眉を動かした


「……中原くんに？」


そんな森に気付かず、Aは話し続ける


「はい！仕事以外で初めて会話出来たので、私、凄く嬉しくて」


そこまで言うと、急に首領が立ち上がって目の前に来た


と思った次の瞬間、思い切り抱き締められていた


「首領……！？」


目をぱちくりさせるAに、森は困ったように笑う


「君がそんなに嬉しそうに話をするから、嫉妬してしまったよ」


首筋に顔を摺り寄せられ、思わず声が漏れる


「んっ……、」


「……男の前でそんな声を出すなんて、襲われても文句は言えないねぇ？」


森の言葉に、Aの顔はみるみるうちに赤くなっていく


「しゅっ、首領っ、駄目です……！」


すると、パッと手を離された


「……なんてね、嘘だよ」


身体を離され、胸を押さえていると、森は目を細めた


「でも……何回も言っている通り、私は君が好きなんだ、何時理性が飛んで、君を襲うかわからないよ」


妖艶に笑う首領の瞳は、本気だった

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