作戦参謀と五大幹部サマ【中原中也】

作戦参謀 37 ページ40

ふと、中也は目を覚ました


２、３度瞬きをすると、其処は見慣れた自分の部屋


(嗚呼、そうか、俺は寝てたのか)


Aに助けられた後、中也は家に帰り、ベッドにダイブし、意識を失ったのだ


ごろん、と寝返りをうち、手探りで携帯電話を探す


開くと、日は2つも変わっており、パーティー当日だった


「約丸2日も寝てたのか…」


余程疲れていたのだろう、まだ身体が重い


時刻は、夜の7時、もうパーティーは始まっている


中也はポケットからクシャクシャになったパーティーの招待状を取り出した


「…今頃、彼奴は…」


重い頭に、微かにAの笑顔が浮かぶ


今頃、もう首領の恋人として周りに知られているのだろうか


その場面を想像すると、中也の胸は締め付けられるように苦しくなる


「でももう、遅ェ…」


中也はゴミ箱に招待状を投棄てると、仰向けになって目を閉じた


途端、今までのAとの想い出が嫌でも頭の中を巡り始める


まだお互いのことをよく知らず、過呼吸をしていたAを助けた時


クッキーを渡され、自ら友達になろう、とAに言った時


Aに思わず接吻をしてしまったとき


Aを服屋と美容院に連れていった時


元気の無いAを横抱きにして、夕日を見て…自らの想いに気づいた時


森とAが抱き締めあっているのを見て…心が苦しくなった時


Aと…此処で口付けあった時


『ー…ちゅう、や』


切なげな瞳で、自分を見つめるAの表情が
忘れられない


「…だめだ」


中也はゆっくりと起き上がった


「彼奴のこと…愛してるんだ…」


この、心を蝕むような熱く苦しい想いは"愛"なんだ


中也はパンっと自分の両頬を叩くと、急いでスーツに着替え、いつもの帽子を被った


そして、ゴミ箱に棄てた招待状を拾い、マンションを飛び出す


愛車に乗り込み、鍵を指してアクセルを踏むもー…


「はぁ！？」


中也は声を上げた


車が動かないのだ


降りて見てみれば、なんと前輪のタイヤの一つが見事にパンクしている


「嘘だろ、こんなときに…！」


(走ってパーティー会場に行くかしかない)なんて焦って考えたところで、マンションの駐車場に1台の車が凄い勢いでやって来た


驚く中也の前にその車は泊まると窓から高橋が顔を出した


「お前は…」


「急いで下さい！中原幹部！」


高橋の言葉に、中也は車に乗り込んだ

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