作戦参謀と五大幹部サマ【中原中也】

作戦参謀 36 ページ39

「明日のパーティーで、首領、私を恋人だって、公表するんだ」


さらりと告げられた言葉に、高橋と倉田は目を丸くする


「え…」


開いた口が塞がらない２人に、Aは続ける


「極秘だよって、首領に言われたんだけど…２人には言いたくなっちゃって」


「だ、駄目だよ！そんなの！」


倉田が声を上げる


それに続けて、高橋は静かに口を開いた


「あんた今…泣きそうだよ」


高橋の言葉に、Aは肩を揺らし、困った様な笑顔を向けた


「内緒だよ、２人とも」


そんなAに２人はこれ以上かける言葉を見つけられず、ただ黙っていた





「綺麗だ…A」


耳元で、低く、低く、見に染み込ませるように、森は囁く


細められた視線の先には、紅いドレスを身にまとい、着飾ったAの姿


「今日、やっと君を恋人だと宣言出来るよ」


森は愛おしそうにAを後ろから抱き締めた


「…首領…」


か細いAの呼び声


Aは前に回された森の手をきゅっと握った


「…私を、幸せにして下さいね、沢山、愛してください」


今にも泣きそうな表情で、Aは森に微笑んだ


その微笑みをー…森は今までで一番美しいと思った


「ー…嗚呼、勿論さ」


森はそう答え、Aに微笑みかけた





ポートマフィア傘下の高級ホテルのパーティー会場は、大勢の者が集まっていた


傘下企業の社長、ポートマフィアを支援している資産家…など


勿論ポートマフィアの面々も呼ばれていた


その中で、ドレスを身にまとい、何やら不安顔の女性が２人…


高橋と倉田であった


２人は時計を見て顔を見合わせる


「中原幹部…いないね」


倉田が不安そうに呟く


そう、このパーティー会場に、中也の姿は無かった


『内緒だよ、２人とも』


困った様に笑ったAの顔が脳内を巡る


今まで黙っていた高橋が口を開いた


「ねぇ…これでいいと思う？」


高橋の問に、倉田はふるふると首を振った


「駄目、だよ、こんなの…」


ぎゅっとドレスの裾を握る倉田に、高橋も拳を握った


「いいわけない、よねー…」


高橋は決心すると、倉田の腕を引っ張り、パーティー会場の出口へと駆け出した


「え、えぇっ！？」


驚く倉田に、高橋は告げる


「中原幹部、呼びにいくよ！今ならまだ間に合う！！」


高橋の言葉に、倉田は目を見開いた後ー


「うん！」


強く頷き、中也宅へと急ぐのだった

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