作戦参謀と五大幹部サマ【中原中也】

作戦参謀 16 ページ19

Aは目の前の光景に感嘆の声を上げた


「うわぁ…凄い」


目の前には、値段の高そうな服がズラァっと並んでいる


中也はAの反応を見て首を傾げた


「…なんでそんな反応してンだよ」


「わ、私、こんな高級なお店、来ないもので…」


以前、森に連れられて来たことはあったが、どうしてもキラキラしたお店に来るのは、気が引けてしまうのだ


「なるほどな…おい、此奴を試着室に案内してくれ」


中也が声を掛けると、店員がにこりと笑ってAを促した


「こちらへどうぞ」


「えっ、ちょ、中原幹部…」


アタフタしながら付いていくと、中也はパッと服を選んでAに手渡した


戸惑いながら受け取るAに、「試着してみろ」


声を掛ける間もなく、笑顔の店員に試着室のカーテンを閉められてしまった


「と、取り敢えず着替えよう…」


Aが着替えてカーテンを開けると、もう次の服を手に用意する中也と目が合う


中也は目を見開いたまま沈黙した


「あ、あの…？」


何も言葉を発さない中也に、不安を覚えていると、すぐに次の服を手渡された


「え、また着るんですか！？」


「当たり前だろ、早くしろ」


有無を言わさない中也の言葉に、Aは渋々カーテンを閉めた


その後、Aのファッションショーは小一時間続いたという…



最後の服を着終えてカーテンを開けると、中也が服を全て買っている最中だった


「えっ、ちょ、中原幹部！？」


焦るAを予想に、中也はブラックカードで淡々と支払いを済ませた


中也はAの格好を見ると、満足そうに笑った


「それが1番似合ってるな」


Aはもう一度自分の格好…白いブラウスに赤い花柄のフレアスカートを見た


「そ、そうですか？…ありがとうございます」


お礼を言ったAだったが、話を逸らされたことを思い出して声を上げた


「って…、なんで全部買ってるんですか、駄目です、こんなに…！」


「いや、もう買っちまったし…心配しないで俺に任せとけ」


中也はさらりと告げると、輸送して貰うためにAに住所を書かせてから店を出た


中也の視線がAの一本縛りの髪の毛にいく


「後は…髪の毛と、メイクだな…お前、なんで一本縛りなんだよ、ダサいだろ」


「だって…楽なんですもん」


仕事をする時、下ろしているとどうしても邪魔になってしまうのだ


「取り敢えず、次行くぞ」


ズカズカと歩を進める中也の背中に何処か弾んだ気持ちでついて行った

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