伝え愛 10 ページ11
握られた手は、何時もより熱くて
Aは戸惑いながらも、何処か期待を胸に、中也の後をついて行った
連れてこられたのは、ライトアップされた中庭だった
噴水の前で中也は立ち止まり、Aの方を振り向く
見つめあった途端、噴水が水の芸術を奏で始めた
暫く見つめあって、最初に口を開いたのは中也だった
「あー……、今回の、Aが計画してくれたんだろ?」
森さんからでも聞いたのだろうか、中也は頬を掻きながら照れ臭そうに目を逸らした
「う、うん……」
そんな中也にAも何処か恥ずかしくなり、顔を下に向ける
「その、最初は驚いたけど……、今までで一番、嬉しかった」
中也の言葉に、Aが顔を上げると、中也はふっ、と微笑んだ
「そっか、それなら良かった」
中也の幸せそうな表情に、Aも微笑む
そこで、Aは思い出したようにハッとした
「あ!中也にプレゼント渡そうと思ってたのに、会場に置いてきちゃった」
うーん、と少しAは頭を悩ませてから、くるりと中也に背を向けた
「今渡したいから、取ってくるね」
Aは足を進めたー……が、その足は前に進まず
腕を中也に掴まれ、ぐいっと身体を中也の方に向かされ、引き寄せられたと思えば、次の瞬間
ぎゅっ
中也の服越しに伝わる温かな体温と
中也のお洒落な香水の香りと
中也の鍛え上げられた腕の中に、すっぽりと収まっていた
初めて抱き締められ、心臓はドキドキと大きく高鳴り出す
「ちゅ、中也……っ?」
どうしたらいいか分からずに、名前を呼ぶ
「今は……お前と2人でいてぇんだ」
耳元で囁かれた声に、Aの顔に熱が集まり、その熱は、段々身体に電信していく
「プレゼント、2つでいいか?それと、Aとこうやって抱きしめ合うこと」
中也はいたずらっぽく笑って、Aの肩に顔を埋めた
「我儘か?俺」
肩に当たる中也の柔らかな髪の毛が、中也の言葉が擽ったくて、Aは中也の背中に手を回した
「ううん、我儘じゃないよ……」
Aの言葉に、中也は息を大きく吸った
「なァ、A……」
「なぁに?中也」
くすくす笑いながら歌うように返事をしたが、中也は間を置いてから、ふと微笑んだ
「いや……、何でもない、ありがとうな」
言いかけた言葉を飲み込む中也に、Aは少し眉を下げた
「うん、中也……」
お互いの体温と、言えない想いを感じながら、中也とAは抱き締めあっていた
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時