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阿鼻叫喚 ページ6

「我ながら美味しかった…」


平らげたカレー皿を前に、Aはふぅ、と一息吐く


「…あ、国木田さんから貰ったチョコレェト」


鞄の中に入れたままなのを思い出して、Aは鞄に手を伸ばした


「チョコレェト…、チョコレェ、…ーあ」


ぴたり、Aの手が止まる


チョコレェトは見つかった


だが…ー見つけなければよかったものまで見つかった




「乱歩さんから太宰さんに渡すように頼まれてた書類…!」




鞄から発掘されたのは、昨日乱歩さんから渡すように頼まれた書類だった


今日は乱歩さんが不在だった為にバレなかったが、今日中に渡さないと拙い



「うわぁあ、太宰さんの所に行かなきゃ」



Aはげんなりとした表情を浮かべた後、服を着替えて部屋を出た







「太宰さん、Aです、いますか?」


インターフォンを押して見るも、全く返答がない


「いないのかな…?」


恐る恐るドアノブに手をかけてみると、いとも簡単に開いた


「開いてる…、太宰さん?すみません、入りますよ」



なんとなく不安に駆られながら扉を開けると、そこは…ー








「あ、阿鼻叫喚…!」








Aはこれ以上ないというほど目を見開いて固まった


一人暮らしだというのに、玄関には多くの靴が転がっており、随分履かれていないのか砂埃が溜まっている


そして部屋中に漂う日本酒の匂い…


籠の中に溜められた洗濯


そうして、部屋のど真ん中には転がる日本酒瓶と蟹缶の山に囲まれて机に突っ伏して眠る太宰の姿



「う、うわぁあ…」



Aは引いた、否、これは仕方ないと思う


これ以上踏み込んではいけない!と本能が叫んでいるのにも関わらず、Aは足を進める



「…太宰さん、太宰さん、起きてください」


声を掛けて少し身体を揺すると、「…ん」と声を漏らして太宰は顔を上げた


「…あれ、Aちゃんがいる」


「そうです、私です、乱歩さんに頼まれた書類を届けに来ました」


はい、と手渡すと、太宰は「態々どうも」と微笑んだ


いつもと変わらない綺麗な微笑みだか、今は霞んで見える


戸惑いつつも、Aは太宰に問うた









「太宰さん…、この部屋はなんなんですか?」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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輪廻 - 前作も素晴らしい作品でしたが、今回もとっても面白くて、キュンキュンしております!( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )❤︎この小説、もう更新はなされないのでしょうか?とっても面白いので、国木田さんの言葉の続きが気になります! (2022年5月8日 8時) (レス) @page12 id: 3d9ac3cda8 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 甘党主義者さん» こんにちは!コメントありがとうございます!前作から…!とっても嬉しいです!ほのぼの恋愛を目指しているので、少しでもゆったりしつつ、きゅんきゅんして下されば幸いです!これからも頑張ります!(´∀`*) (2018年3月22日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
甘党主義者(プロフ) - こんにちは、読ませていただいています! 前作から読み始めているんですけど、凄い面白いです(*^^*) これからも更新、楽しみにしています!! (2018年3月22日 8時) (レス) id: 5924d6346b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2018年3月19日 16時

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