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此方向いて 9 ページ10

ウサギさんの形に向いた林檎を太宰はじぃっ…と見つめていた


「…君、意外と器用なんだね」


ウサギさんと見つめあっていた太宰に見つめられ、Aは頬をかいた


「え、そうですか?ふふ…、嬉しいです」


太宰の褒め言葉に浮かれていると、「ねぇ、着替え早く」と急かされる


手に持っていた着替えを渡すと、太宰は服を脱ぎ始めた



「…!?!?だ、太宰さんっ!?」



あまりの衝撃にAは顔を覆う


そのまま右へ左へウロウロとするAを見かねて、太宰は溜息をついた


「いいよ、私気にしないから」


そう言って服を脱いだ太宰の言葉に、Aは恐る恐る覆っていた手を退かした


細くも敵度に筋肉のついたしなやかな躰に巻かれている包帯に目がいく


その包帯に、Aはきゅっと唇を噛んで俯いた


着替える太宰に、Aは口を開く




「太宰、さん」


「なに?」



ボスン、と横になる太宰の額に冷やしたタオルをそっと添え、






「ー…もう、いなくなろうとしないで下さい」






昨日の焦燥感と絶望を思いだし、苦しくなって目を細めた


(もう、あんな思いしたくない)



「貴方がいなくなったら、私ー…」



じんわり、いつか来るだろうその時を頭に思い浮かべると、自然と目尻が熱くなった


首から手首まで巻かれた包帯


それは今迄貴方がどれだけこの世から消えようとしていたかを物語っていた



(私は貴方がもうそんなことを考えないように、傍で孤独を埋めてあげたいのに)



俯いて必死に涙を堪えていると、額に添えていた手をぎゅっと握られた



「太宰さん…?」



顔を上げれば、鳶色の瞳が細く微笑んでいた






「約束するよ…、もう、いなくなろうとしないから」




何時もより優しい声に、感じていた不安が風のように消え去っていった




「はい…、約束、ですよ」




嬉しくて、ホロり、涙が零れて


小指を絡めて"指切りげんまん"をした

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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AS(プロフ) - ただのニジオタさん» コメントありがとうございます!明日には公開出来ると思うので、お楽しみにしていて下さい!これからも全力で頑張っていきます!いつも温かな応援、嬉しいです(´ヮ`*) (2017年9月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ただのニジオタ - 更新頑張ってください!!!!ほんとに応援しています! (2017年9月23日 16時) (レス) id: 5943eb19db (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 姫蛍さん» 私も書きながら悶えてしまいました…←双黒にあんなに想われてドキドキさせられて…もう夢主になりたいです(笑)コメントありがとうございます(*´v`)これからも頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 一言言います。悶える。 (2017年9月21日 22時) (レス) id: 3003a1c972 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 夜野猫さん» やっと自分の想いを認められた太宰です…、すっかりデレデレになってますね(笑)書いていて、双黒に好かれて羨ましい限りです(´ω`)ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月18日 22時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年9月3日 17時

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