検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:85,623 hit

此方向いて 6 ページ7

ハッキリと告げられたその言葉は、今迄認めない様にしていた、知らない様にしていた、残酷な真実


頭を鈍器で殴られたかのように、思考回路が零に等しくなっていく


心臓の嫌な音と、喉の急速な乾きを感じながら、Aはそれでも鳶色の瞳を一生懸命に見つめ返した




「私は君を好きにはなれない、そう確信してる」



迷いと嘘偽りの無い言葉に、傷つきながらも、Aは折れずに、太宰に食いついた


「わ、私の何処が嫌ですか!?なんでも正直に言ってください…!」


身を乗り出して聞くと、太宰は指を折って言い始めた



「犬みたいに従順なところとか、私に執着するところとか

後、心の中に入り込んでこようとするところも嫌だ」



次々に答えられる内容は、全て矢となってAの心に突き刺さる


「ごめんなさい…」


思わず身体を縮こませて涙を目に溜めると、太宰は「泣き虫なところも」


その言葉がトドメとなって、遂にAの涙腺は崩壊した


ポロポロと涙を零していると、太宰は鳶色の目を細めた





「ー…私と君は、遭わないんだ」




太宰は椅子から立ち上がると、背を向ける


「早く私への気持ちなんか忘れて、新しい恋を探すんだ」


この場から離れようとする太宰の背中


咄嗟に手を伸ばすも、寝台の上からではどんなに伸ばしても虚空しか掴めない



(今の、私の心みたいー…)



Aはグッと心に決めると、医務室の扉に手を掛けようとする太宰に、大きく息を吸って




「待って、太宰さん!」




ピタリ、Aの呼び声に太宰は手を止め、Aを振り向いた



「私、頑張りますから、太宰さんの恋愛対象内に入るように

貴方の事を尊敬しています、貴方の事が好きです…!

こんな強い気持ち、私は忘れる事は出来ません


合わなくてもいいです、私の事が目障りでもいいです

唯ー…




好きでいさせて下さい」


鳶色の瞳を真っ直ぐに見つめて想いを告げると、



「…君は本当に馬鹿だね」



呆れを含んだ小さな笑い声が聞こえ、Aは目を丸くした



「君が私に対して真剣なのは分かった

以前の君より、今の堂々と私に好意を伝える君の方がずっといい」



太宰はAへと歩み寄ると、Aの顔を覗き込んで、薄く微笑んだ



「楽しみにしてるよ、A」



月明かりに青白く照らされ、楽しそうに細められた鳶色の瞳に、Aはすっかり目を奪われー…


「はっ、はい!!」


喜びのあまり、裏返った声で返事をしたのだった

此方向いて 7→←此方向いて 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (80 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
183人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

AS(プロフ) - ただのニジオタさん» コメントありがとうございます!明日には公開出来ると思うので、お楽しみにしていて下さい!これからも全力で頑張っていきます!いつも温かな応援、嬉しいです(´ヮ`*) (2017年9月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ただのニジオタ - 更新頑張ってください!!!!ほんとに応援しています! (2017年9月23日 16時) (レス) id: 5943eb19db (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 姫蛍さん» 私も書きながら悶えてしまいました…←双黒にあんなに想われてドキドキさせられて…もう夢主になりたいです(笑)コメントありがとうございます(*´v`)これからも頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 一言言います。悶える。 (2017年9月21日 22時) (レス) id: 3003a1c972 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 夜野猫さん» やっと自分の想いを認められた太宰です…、すっかりデレデレになってますね(笑)書いていて、双黒に好かれて羨ましい限りです(´ω`)ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月18日 22時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:AS | 作成日時:2017年9月3日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。