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此方向いて 2 ページ2

穏やかな昼下がり


小鳥も囀る晴れた日のこと



武装探偵社では、穏やかではない国木田独歩の怒鳴り声が響いていた



「なんだこれは!」



怒声と共に机に叩きつけられた書類に、一人の女は肩をビクリとさせる


「な、何か不備でもありますか?」


恐る恐る問う女に、国木田は続ける




「これは太宰の仕事だろう…、何故お前がやっているんだ、A!」




その女ー…七瀬Aは笑いながら



「そんなの何時もの事じゃないですか…、

太宰さんやりませんし、それに、私は太宰さんの役に立てて大変光栄です!」



胸を張って答えるAに、国木田は一つ溜息


「お前が太宰を甘やかすからだろう…、

もういい、太宰を探してこい」


眼鏡を押し上げる国木田の言葉に、Aは満面の笑みを浮かべた


「わかりました、太宰さんを探してきます!」


Aはそう言うと意気揚々と探偵社を飛びだしていった






静かになった探偵社内で、国木田は頭を抱える


「幾ら太宰を尊敬しているからといって…甘やかし過ぎなのだ、全く」


ブツブツ小言を言う国木田に、乱歩はビー玉を転がす手を止めた



「国木田…?お前それ本気で言っているのか?」



目を見開き、ぱちくりさせる乱歩に国木田は首を傾げる


「本気、とは…?」


全く理解していない国木田に、乱歩はしれっと答えた



「Aは確かに太宰を尊敬しているけど…好きだから甘やかしているんだろ」




乱歩の発言に、国木田は目を大きく見開く


「そうなんですか、乱歩さん…!?」


「え、国木田さん、知らなかったんですか?」


近くでパソコンに向かっていた谷崎の唖然とした声に、国木田は怒鳴る


「し、知らんわ!それにしても…Aがあの唐変木の事を…」


呆然とする国木田を尻目に、黙っていた敦が呟くように



「それにしても…太宰さんは気づいているんでしょうか?」



その問に、探偵社内は静まり返った


そう、探偵社七不思議の一つー…太宰治は(名字)Aの好意に気づいているのか、である


誰もが気にはしていたが口にしなかった事を、敦は言ったのだ


「え、なんか僕拙い事を…?」


焦って口を覆う敦


静寂を破ったのは乱歩の呼びかけだった


「敦くん」


乱歩の呼び方に、敦以外の面子が乱歩に注目する


乱歩は窓の外の陽にビー玉を掲げながら




「気づいているからこそ…、気づかない振りをしているんだよ」




意味深に告げる乱歩のビー玉は、キラキラと輝いていた

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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AS(プロフ) - ただのニジオタさん» コメントありがとうございます!明日には公開出来ると思うので、お楽しみにしていて下さい!これからも全力で頑張っていきます!いつも温かな応援、嬉しいです(´ヮ`*) (2017年9月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ただのニジオタ - 更新頑張ってください!!!!ほんとに応援しています! (2017年9月23日 16時) (レス) id: 5943eb19db (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 姫蛍さん» 私も書きながら悶えてしまいました…←双黒にあんなに想われてドキドキさせられて…もう夢主になりたいです(笑)コメントありがとうございます(*´v`)これからも頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 一言言います。悶える。 (2017年9月21日 22時) (レス) id: 3003a1c972 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 夜野猫さん» やっと自分の想いを認められた太宰です…、すっかりデレデレになってますね(笑)書いていて、双黒に好かれて羨ましい限りです(´ω`)ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月18日 22時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年9月3日 17時

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