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白雪姫にはなりたくない! ページ10

「あの時は仕事で仕方がなかった、ってさっきも言ったよね?」
コノハヅキさんは不機嫌な声で言った。
「それに僕は、そう何度も同じ仕掛けで仕事はしてない。その主張は事実無根も同然だ。」

絵の構成は、コノハヅキさんの趣味だと思うんだけどな……。事実無根って言うのはちょっと違うんじゃ……。
僕は思わず首を傾げる。

「よく言うぜ。」
リーオックさんは、器用にリンゴのウサギを何匹も作りながら言った。
「お前がさっき投げた筆はなんだ?二年前と同じように、毛先を硬化する液剤と、固まった毛先を浸す毒をしっかり使ってるじゃねぇか。
リーハの見舞いにかこつけて俺への死の予告絵(挑戦状)を描くなんて良い度胸だな。」

「酷いな、リーオック。リーハ君を見舞う気持ちに嘘はないよ。君への絵はいずれ、また改めて描くさ。
液剤?毒?そりゃあ、君への反撃くらいには使わないと、もったいないからだよ。適度に中身を出さないと、チューブの中で固まってダメになるんだ。」

いや、だからって!!
僕のいる部屋で毒なんて使わないでくれよ!!

僕はギョッとして、その筆の被害を受けていたリンゴから沢山のウサギ達を作っているリーオックさんを見た。
「リ、リーオックさん!あの、という事は、そのリンゴには毒が……?」
「ああ、安心しろ。毒がついた部分はちゃんと削ぎ落としてある。」

嫌だよ!
僕、そんなリンゴ食べたくない!

そこで僕に助け舟を出したのは、意外にもコノハヅキさんだった。
「確かに、止めておいた方が良い。削ぎ落としたところで完全じゃないよ。少量でも摂取したらリーハ君は死んじゃうかも知れないからね。」

ほら!ほら!やっぱり!!
そのリンゴを食べたら死ぬかもだって!

「なんだと?!………お前、このウサギを全部捨てろって言うのか?」
「なんなら、リーオックが食べれば良いさ。君なら平気かも。ゲテモノを食べ慣れているだろうし。」
「お、前………このリンゴ一個に、どれだけ病人に必要な栄養素が含まれているか、知ってて言ってんのか?」

リーオックさん、ストレスがどれだけ病人にとって悪い事か、知ってて言ってます?

「あっそ。じゃあ、そのリンゴを食べたリーハ君が、永遠に目覚めない白雪姫になったって僕は知らないからね。」

待ってよ、『知らない』なんて言わないで?!
見捨てないでよ、コノハヅキさん!!




………と言うか、コノハヅキさんの所為でしょうが!!!

フランス人形、再び→←コノハヅキさんの絵の秘密3



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設定タグ:恋愛 , 冒険 , 殺し屋   
作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio  
作成日時:2020年11月13日 12時

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