奇妙な二人 ページ5
夢よ、覚めろ覚めろ!!
僕は頬をつねりながら頭をブンブン振った。
当たり前だけど、すぐに頭はクラクラして痛くなって来た。
だけど、なかなか夢は終わってくれない。
二人は尚も僕の横で騒いでいる。
「そら見ろ、リーハが怯えてるじゃねぇか。その手を下ろせ!」
「僕一人の所為じゃあないと思うけどね!君こそ、この絵に刺さったナイフから手を離したら?」
「は?これは俺のナイフだぜ?」
「なら、僕も油断が出来ないね。」
二人の辞書には「妥協」って言葉が無いの?
なんで一々殺し合いに発展する必要があるんだよ!!
ほらね、やっぱりどうしても僕は巻き込まれるんだ!!
もーー嫌だよ!!
早く夢よ覚めてくれーーーっ!
ところが。
「………クソ、抜けにくいな。」
二人はまた、あっちに
不思議なことにコノハヅキさんも、攻撃する事なくリーオックさんのするままに任せている。
やがて「ズボッ」という音がして勢いよくナイフが抜けると、二人は両側へ離れ、コノハヅキさんは僕のベットの足元に、リーオックさんは机の前の椅子に腰を下ろした。
いや、なんで二人ともそこに座る?
それからしばらく、なんだかこの場から離れたくなるような、気まずい沈黙の時間が流れた。
僕も何を言ったら良いかわからなかった。
痛みと眩暈でぼーっとしている頭の所為もあると思うけど、ユウミさんが来なくても、二人が争うのを止めて………僕の部屋に居座り続けるとは思わなかったのだ。
二人の奇妙な行動のおかげで、逆にわからなくなって来た。
これって現実?
それともまだ夢の中?
「……簡潔に言うと。」
夢の中と同じように僕の心を読んで、口火を切ったのはリーオックさんだった。
「これは現実だぜ。随分うなされていたな。」
げ、現実………?
「ほ、本当に?」
「そうだよ。」
コノハヅキさんの声に、僕は全身の力が抜けた。
………40%くらい。だって、二人がそばにいる限り完全に安心する事なんて出来ないもの。
「うわ言が凄かったね。おかげで君の見ている夢がどんな内容だか、すっかり分かってしまったよ。」
と、そこでコノハヅキさんはクスリと笑った。
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時