【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS・２ (ページ32)

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息子を訪ねてはるばると２ページ32

お母さんは、二人とも挨拶が優雅だのイケメンだのと言って喜んでいるけど……。

堂々と偽名を名乗るリーオックさん達に僕は呆れていた。
まぁ、リーオックとコノハヅキっていう名前も「業界」とかいう所の通り名らしいから本名って訳じゃないんだろうけどね……。

「あーあ、それに比べて……ウチの子と来たら！『お母さん、疲れたでしょう？』とも『迎えに来てくれてありがとう』とも言わないのねぇ。」
お母さんはわざとらしく溜め息をつきながら僕に近付いて来た。

言うわけないでしょ、そんなこと！
僕が電話で「来なくて良いよ！」って言ったことを忘れたんだろうか、お母さんは。

僕は精一杯の皮肉を込めて「わざわざ遠いところから、お疲れ様です。」と言った。
……皮肉は込めたけど、かなり譲歩したつもりだ。

なのに直後、頭をはたかれた。

その後のランチタイムは最悪だった。

僕は今まで「リーオックさんとコノハヅキさんほど酷い人はこの世にいない」とまで思っていたけど、それは間違いだったという事をつくづく思い知らされた。
僕を精神的に追い詰める事にかけては、お母さんの上に出る者はいないだろう。

お母さんは、わざわざ僕の小さい時の事……例えば、５歳の時の僕が、お化けの本を読んだその日の深夜、トイレに行きたくても怖くて行けずに結局、毛布におねしょをしちゃった事とかを掘り返しては、笑いながらみんなに話したのだ。

まるで、僕の失敗談の暴露大会だ。

なお悪い事に、リーオックさんとコノハヅキさんがそれに便乗した。

「リーハ君は情緒が豊かだから、お化けの話を真摯に受け止めてしまったのでしょうね。……ああ、そういえば！リーハ君はここで熱を出す前に、『人形が襲って来た』って言ってたね。」
「そうだな、言っていたな。それに、『屋根を踊り回る足音が聞こえる』とも言っていたな……。やはり、急激な環境の変化は体調不良を招いてしまうものなのでしょうな。」
「あらやだ。幻覚や幻聴も体調不良の一種なんですの？」
「その可能性があります。」

……などと、自分達の事は棚に上げて、(つまり事実を色々ねじ曲げて)ここ一週間の僕の事を事細かに話したのだ。
多分、僕の実家帰りを確実なものにする為に！

こんな酷いことってある？！
ユウミさんもその場に居たのに！！！

おかげで。
一週間ぶりのユウミさんの手作りランチなのに、味はほとんど分からなかった。

僕は一人、早々に食べるのを切り上げて部屋に戻った。