不機嫌な探偵 ページ21
「何故俺が返事をしなかったかって?決まってるだろ。」
突然、僕の心の声にリーオックさんが参加して来た。
「時間の無駄だからだ!」
じ、時間の無駄ぁ……?!
何だか存在自体が無駄と言われているような気持ちになった。
「そ、そんな事……」
「いや、無駄だ!お前が今日こうして俺の部屋へと駆け込んで来る事も、それからの会話の内容も全て、俺はお前のお袋さんから依頼を受けた六日前にはシミュレート済みだからな!」
「は……はい?!」
何を言ってるの、この人?!
意味がわからない!
僕が目を回していると、リーオックさんはとんでもない早口で喋り出した。
「『僕のお母さんからの依頼なんて……受けないでくださいよ!』
無意味な文句を言うんじゃねぇ!
何の事件の匂いも感じさせない行方不明者を探すのは、興味が無いとは言え俺の仕事の
「楽って……。」
結局それが理由かよ……。
リーオックさんは尚も捲し立てる。
「『お母さんからの依頼を受けるなら受けるで、僕にそうと教えてくれたって良いじゃないですか!』
おい、何故お前に教えなければいけないんだ?
そんな馬鹿な事を言うなら、お前の未来の嫁さんに男の影がチラついた時に、お前が誰に調査を頼もうと、俺が率先してその嫁さんに「旦那さんが疑ってますよ。もっと上手くおやんなさい」と言ってやるぞ!
いいか、俺に文句を言うのはお門違いだ!
しかも、俺はただの隣人であってお前の友人に降格した覚えなど毛頭ない!!」
「ゆ、友人に降格って……」
浮気調査の例えも酷いんだけど……
「『僕を友人だと思ってなかったんですか?!僕は夢の中だけど、あなたが死んだと思った時には本当に悲しくて泣いたんですよ!?
あなたはそれが嬉しかったからその時にリンゴを持って来てくれたんじゃないんですか?!リンゴは、コノハヅキさんの所為で結局食べられなかったけど!』
は?!
何を寝ぼけてるんだお前は!!」
「ね、寝ぼけてませんよ……」
リーオックさんは僕を踏みつけたまま、一人で勝手に僕のセリフまで喋って怒っている。
「俺がそんな事に絆されるとでも?
そもそも俺は、お前が夢の中で勝手に……しかもコノハヅキを使って俺を殺した事に腹が立ってるんだぞ?!
リンゴを剥いたのは、そうしたい気分だったからだ!他に何もない!思い上がるなよこの野郎……!」
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時