月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ10)

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未完成ページ10

「今日は、ここまでにしようかの…
大丈夫かね、A…
初日にしては良くできておった」

気がつくとそこは校長室で
テーブルに並べてあった様々な器具たちが
床になぎ倒されていたり、
本棚の本が床に転がっていた。

『こ、これは？』

「君が無意識のうちにわしを攻撃したのじゃ。
もちろんそれも有効じゃ、じゃが…」

『遠く離れた所からでは意味がない。
分かってます…』

「最後の15分ほどは抵抗ができておった。
少し見え辛くなったからの」

もう少し、練習したい。
早く身につけなければ

『先生…』

「ダメじゃA、
君はもう3時間も術の中にいた。」

でも…

「君の心が保たなくなってしまう。
それに日常から練習じゃ、
今も君の心はいとも簡単に読めた」

『分かりました、先生』

時計を見るともう日付が変わってしまう。
早く戻らなければ

『では、おやすみなさい、先生』

「おやすみ、
あぁ、君は小さくなっても可愛らしいのぉ」

開心術。

そこで見られたということは私達の校則破り、
はたまた法律を破ろうとしていることだって
バレたのだ。

『せ、先生！』

「わしは、何も知らぬよ
さあ、お行き」

これは、みんなに言うべきなのか、

いやでも。先生はもう知っていたのか？

分からない…

談話室に着くと、3人だけがまだ暖炉の周りで
何かしていた。

「A！お帰り！
今、やっと地図を書き終わったんだ！」

『最後のホグズミードのところ書き終わったのね！
凄い！もう完成じゃない！』

「あ、あとは君が呪文をかけるだけだよ！」

「何の呪文をかけるんだ？」

『ホムンクルスの術、追跡呪文よ
あとただの羊皮紙に見えるようにしなきゃ…』

3時間の授業のせいか、目の前が霞む。

「ダメだ、今日はやめておこう。
明日でいいよ、A。
凄く疲れてるし顔色が悪い」

「そっか…じゃあ明日にしよう」

「…失敗されたら困るしな」

辺りを見回して他に誰もいないことを確認してから
ラーテルの姿になり、暖炉の前のジェームズの
セーターの中に入り落ち着く。

今日は、疲れたなぁ…

ひょいと抱き上げられる浮遊感がしたけど
まぶたが重すぎて開けられなかった。