月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ41)

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宿命　リーマスside ページ41

『私、皆に色んなモノ貰った
信頼、安心、愛情に居場所。
私それがあれば1人でも頑張れるから』

「待ってA、」

立ち去ろうとした彼女の手を咄嗟に掴む
でも、何を言えば、
どうしたら考えを変えてくれるだろう

Aは僕に向き直って両手を握った

『ありがとう、リーマス。私大好きだよ、
貴方もジェームズもシリウスもピーターも
…デリトリウス』

彼女が杖を振ると地図からラーテルの名前が浮かび、
散り散りになって消えた

「お前は、それで良いのかよ
俺達がどう感じるかなんてどうでも良いのかよ」

『ごめん』

「勉強…そうだよ、勉強は誰が教えてくれるの？
僕ラーテルじゃなきゃ赤点だよ？」

『私じゃなくても大丈夫だよ、』

「A、閉心術で抵抗出来るようになったら
戻ってくる、そうだろう？」

ジェームズのその言葉に彼女は微笑んだだけだった。
どうして、何も言えないんだ
言いたい事は沢山ある、沢山ありすぎて何から言えば

『じゃあ、ね』

それだけ言うとAは城に入っていってしまった

「ねぇ、A帰ってくるよね？ね？」

ピーターのその言葉に誰も何も答えなかった

彼女の肩に課せられた宿命は僕達の想像よりも
あまりにも重すぎた

彼女が泣ける場所はあるだろうか
安心して眠れる時間があるだろうか

常に命を狙われる彼女が壊れてしまわぬように
それを願うことしか出来ないあまりの無力さに
苛立ちすら沸いてこなかった。