月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ5)

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記憶ページ5

どうしたんだろう、リーマス。
満月も近くないし、
要因が見当たらない。

まさか、私と冷やかされたのが嫌だったかな…

『アップルパイ』
ガーゴイルの前で唱えればそれは
校長室までの階段を開けてくれた。

ノックをすると
お入り、という優しい返答があった。

『こんばんは、ダンブルドア先生』

「こんばんは、A
こちらに来て座って、紅茶でもどうかな」

『頂きます』

カップから立ち上る香りは独特な香ばしさがあって、
口をつけると苦味はなく、あっさりしている

『この紅茶、美味しいですね…
初めて飲みました』

「これはほうじ茶と言ってな
日本のお茶なのじゃ…
ところで、君を呼んだ用件なのじゃが、
これを、見て欲しいのじゃ」

そう言って見せられたのは
コルク栓がされた試験管の中でふよふよと渦巻く
糸のような白く半透明なモノ

『これは…なんですか？』

「記憶じゃ、A。
君のご両親が亡くなった時にその場で
見張りをしていたデスイーターが最近捕まっての、
そやつのその夜の記憶を回収してきたのじゃ
君には見る権利がある。見たくなければ__」

『見ます。』

ママとパパの最後を見届けたい
見なければ私はきっと後悔する。

「おいで」
先生の後をついて行きある扉を開けると
そこには篩があった。

そこに張られた液体の中にコルクの中の記憶を
入れる先生。

「これは、憂いの篩と言ってな、
記憶を映像として映し出してくれるものなのじゃ
一緒に…見に行こうかの？」

差し出された手を取る

すると篩の中に引き込まれ、落ちて行く感覚。

椅子に座り2人で話し込んでいる
パパとママ。

話しかけても返答は無い、
しょうがない、ここは記憶だ

「ねぇあなた、私達あの子に伝えるべきかしら」

「どうだろう…
でもこのことを知られたら奴は利用して
Aに取り入ろうとするだろう…」

「でも…まさかこんなに近い
血の繋がりがある、なんて…」

血の繋がりが、ある？
ヴォルデモートと？

その後2人が殺される記憶。
2人の叫び声とヤツの高笑いだけが耳にこびりついて取れない。

ママは最後に守護霊を私に送った、
あの夢はママの物だった。

気付くとそこはもう校長室だった。