月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ34)

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白銀ページ34

「A！ラーテルになるんだ！
すぐにそいつと逃げろ！」

彼の後ろから出てきたのは人の姿をしたままの
ジェームズ。

『でも！そしたらジェームズが！』

「大丈夫、信じて
僕は大丈夫だ」

その間にも私との距離を詰めるリーマス

他に手は無い
私がうさぎの姿になると

彼は目標を失ったようにキョロキョロしている。
次なる目標として定めたのはセブルスだ

彼に向かって飛び掛かって来たと思ったら
その間に割り込んだのは大きな牡鹿

私とセブルスは城に向かって走り出した

妙に心臓が変な音を立てる
まずい、動物と離れすぎてしまった

「一つだけ分かった、
ルーピンは狼人間だ、それを報告したら
奴らを退学まで追いやれる」

屋敷から離れたところで人間に戻ると
そんなことを言っているのが聞こえた

でもそれよりも、心臓が痛い

『セブルス…離れて、』

「お、お前…どうしたんだ、
具合が悪いのか？早く、医務室に」

『あぁああああっ！！』

一瞬、目の奥で大きな蛇と
赤く光る目が見えた

頭が割れる
体中の血が煮えて熱い

このままじゃ、アレに

呪文、何か呪文を使えば、

無我夢中に空に向かって杖を振ると
白銀の今までに使ったことのない魔法が
雲を貫いた

バチン

と大きな音がして手が引かれ
また大きな音がした

気付けば私はラミアーに巻きつかれていた

全身の血が落ち着いていき、
頭痛が抜けていく感覚にホッとする

途切れかける意識の中で見えたのは
アイスブルーの瞳

『先生…ジェームズとリーマスが、』

「分かっておる、彼女を頼んでいいかなラーミア
よく耐えたの、A」

先生の後ろ姿はまた大きな音と共に消えた。