月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ20)

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2回ページ20

「A…
そろそろ休憩しない？」

楽しくて4曲も連続で踊ってしまった

『ごめん、楽しくてつい…』

「大丈夫だよ」

渡されたのはオレンジジュース

踊っていたからか、
あまり気付かなかったけど
少し人酔いしてきた

「顔色悪いよ、
少しここから出よう」

頷くと私のグラスを持って外に連れて行ってくれた

少し私の前を歩いて手を引く彼は
また、背が伸びたのだろうか

いつもしない髪型とワックスの香り

廊下の人通りの少ない窓際のベンチに座って
さっき食べたスイーツの話や、
ありえないくらいおかしなジェームズの寝言の話で
盛り上がった

ふと視界の端に映ったのは
会場から出て行くシリウスの背中

去年のクリスマス、シリウスとレイブンクローの
女子生徒がキスをしていた光景

それを思い出してしまい、
まともに彼の顔を見ることができなくなる

「A？聞いてる？」

『ん…ちゃんと聴いてるよ』

「なんでこっち見ないの？」

『なんとなく…』

「こっち見てってば
見ないなら…こうだからね！」

急に始まったリーマスの
くすぐり攻撃

『見る！見るからやめて！』

少しの攻撃で彼の彼の胸を叩こうとするけど
その両手は彼の手によって止められてしまった。

ハッと顔を上げると、私の大好きな薄緑色の
綺麗な瞳に自分だけが映り込んでいる

さっきまで意地悪そうに笑っていた
リーマスはいなかった。

私も彼も何かを話そうとはしなかった

ただ、コクリとリーマスの喉が上下したのが見えた

1回目は触れるような
したのか分からないくらいの一瞬

リーマスは掴んでいた私の手首を解き、
頬に両手を添えた

こういう時にどうするとか
誰かに聞いたわけじゃない。

今度は私も彼に寄せるように自然に動いた

この時の私たちの間にはなんの障害も無い

まだ離れたくないというお互いの願いだけが
私達の間にはきっと流れていた

それだけで心地良かった