月が綺麗ですね【親世代】⑤ (ページ13)

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熱　リリーside ページ13

「ペベレルさん、僕とクリスマスパーティーに
行ってくれませんか！」

『ごめんなさい…』

全く…何回目かしら…
今日だけで4回よ、
なんだかAもやつれてない？

「大丈夫？じゃないわよね」

はは、と乾いた笑みを溢すA。

『知らない人と行くのは、ちょっと。
それに、私…』

「Aさーん！！」

振り向くと人懐っこい大型犬のように駆け寄ってくる
ファインズ君。

「あ、リリーさんもこんにちは！」

いつも礼儀正しいわね…

『こんにちは、レイフ君！
どうしたの？何か用事？』

「あ、その…」
言い淀む彼の碧眼が泳いでいる
あぁ、きっとパーティーのお誘いだわ

「A、私あそこのベンチに座って
本読んでるから」

『分かった！』

全く、早くしないと取られちゃうわよルーピン

Aはあなたと行きたがってるんだから
早く誘っちゃいなさいよ

「Aさん。
僕、貴女をエスコートしてクリスマスパーティーに
行きたいんです。」

膝をついて王子様のように言う彼。
背が高く、茶髪に碧眼。
成績も良く、クィデッチの選手。

他の女の子だったら簡単に
頭を縦に振ってしまうだろう

Aは靴の爪先で地面の土をいじっている

きっとあの慣れない誘われ方に驚いているのと
断り方を考えているのかな…

アイツ…早く誘わないととっちめるわよ…

『ごめんね、レイフ君』
Aが首を横に振った。

「でも、相手いないじゃないですか！！
それなら！僕でも！」

レイフ君が熱くなってAの肩を掴んでいる
少しヒートアップしすぎじゃない？

ベンチから立ち上がると同時に
何かが横を通った。

と思ったら隣にはポッターとブラックとペティグリューが立っていた。

「彼女は…僕のパートナーだ」

ルーピンがAの手を握ってそう彼に告げた。

…良かったわね、ルーピン。
あと少し遅かったら私の杖が向けられたのは貴方よ。

「リリー…僕とクリスマスパーティーに
行ってくれないかい」

「今年はパーティー自体行けないの
ごめんなさい」

祖母の体調が良くないから
早めに家に帰りたいのだ

「そっか…じゃあ来年また誘うよ！」

「……待ってるわ」

滑り出した言葉に自分でも驚いた。
目の前のポッターもブラックもペティグリューも
驚いている。

「わ、私、先に寮に戻るから！
Aにも言っておいて頂戴！」

どうしてあんなことを言ったのか
自分でも分からない。

ただ今はこの熱くなった顔をどうにかしたい。