孤島 ページ29
水平線に浮かぶ、白い砂浜と透き通る青さを持った海を持つ孤島に近づくとバルボッサは部下に船縁から板を出すよう命じた。
彼らに取って要らなくなった人を船から下ろすつもりだ。
正確に言うと下ろすと言うより落とすになるが…
一番最初はエリザベスだった。
海賊達に武器で脅され、後戻りできない中でドレスを脱いだ後エリザベスはバランスを崩して海に落ちた。
「よくも騙したな!自由にすると誓っただろう!!」
ウィルは男達に掴まれていた手を振りほどこうとしながらバルボッサへの怒りを露わにする。
「言いがかりをつけるのはよせ!若造が!自由にするとは誓ったがいつどこでと指定しなかったのはお前だ。」
バルボッサと海賊達の高笑いが響き、ウィルは抵抗も虚しく猿轡をはめられた。
そして次はスパロウだった。
彼は水中に投げられた自分の武器を追って自ら海に飛び込んだ。
二人共すぐに浮かび上がって来たから泳いで先に見える孤島を目指すだろう。
私は一段落ついて甲斐性のない安心感に浸っていた。
「何を安心している。最後はお前だ。」
海賊達と嘲笑うバルボッサの目が何故か、「気が変わらないうちに早く行け」と言っているように見えた。
「ねぇ…、この船に残ることは出来ないの?…もちろん変な気は起こさないと約束するわ。」
海賊達の煽る声が止んで急に静かになる。
「ほぅ…。勇敢なお嬢さんの新しい選択肢だな。いいだろう。」
バルボッサの指示で私たちは全員牢に入れられることになった。
蒼炎の使いすぎからか疲労が半端無く、牢に入ると壁に寄りかかって浅い眠りについた。
______
真っ白な光の中でどこか遠くから男女の話し声が聞こえる。
「…そうそう、この間学校の先生に気になること言われたのよ。」
「何て?」
(これは…!)
紛れも無く私の両親の話し声だった。
「あの子ボーッとしてる事多いんだって。あっ、そこのお皿とってくれる?」
目を凝らすと景色まではっきりと見えてくる。
懐かしい我が家のリビング。
しかもこれはここに来る前に両親を見た最後の光景だ。
「一点だけを見つめてて全然話し聞いてなかったらしいの。まぁそこまでは私も昔から手を焼いてるからそういう癖あるの知ってたんだけど。覗き込んでみたら一瞬目が蒼く見えたらしいわ。」
「目が蒼く?見間違いじゃないのか?」
母の言葉に驚きを隠せない父。
「そうよね。」
そこまでくると再び光に包まれ景色が遠くなっていった。
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Caesar(プロフ) - ティコ。さん» 返信遅れて本当にすみません!!m(_ _)m面白いという御言葉すっごくありがたいです!!ありがとうございます!!!更新頑張りますね! (2018年3月1日 19時) (レス) id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
ティコ。(プロフ) - めっちゃ面白いです!!更新頑張ってください!あと、1つ質問なのですが、名前は固定ですか? (2018年2月28日 12時) (レス) id: e878cfb355 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» 追記:本当にありがとうございます! (2017年8月7日 21時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» あれ見たらファンになっちゃいますよね!その気持ち凄く共感できます!! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
むらなか(プロフ) - 私もパイレーツファンでいつも楽しく読ませていただいてます。更新楽しみにしてます!笑笑 (2017年8月7日 17時) (レス) id: ce8b8b5d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダージリン x他1人 | 作成日時:2017年7月1日 15時