償いの血 ページ21
「諸君、覚えているな?キャプテン・ジャック・スパロウだ。」
バルボッサが毒々しく口角を上げて嫌味たっぷりに話す。
私とスパロウは四方八方から海賊たちに囲まれて、刃物や銃口を向けられた。
が、
「おい、パーレイを唱えた者に手出しはできん。レディは丁重にもてなそう。」
バルボッサの計らいで私だけは彼の隣でくつろぐことを許可された。
「終わりだ。」
海賊が銃の引き金を引こうとすると、不意にスパロウは口を開いた。
「なぁ、それよりあの女の血じゃ無理だっただろう?」
目的に気づかれていたことに海賊達がざわつきだす。
「あの女って…?」
”あの女”と聞いてエリザベスの事をふと思い出した。
「…あぁ、それはお前が助けたいって言ってたやつ。」
「?」
さりげなくヒントをくれているみたいだが私にはうまく伝わらない。
「だから、その、エリ…」
スパロウが段々と小声になっていく。
「…エリザベス!?」
「…そうだ。」
スパロウの返答を聞くと同時に私はあるものに気がついた。
「あ、あれ…。そういえばエリザベスがつけていた金貨と同じなんじゃ…。」
私が指を指した先には台の上に置かれた石造りの棺のような箱の中いっぱいに、あの金貨が禍々しい光を放っていた。
「…船長、もしかしたらその娘がターナーの娘なんじゃないか?」
「あの女とも顔見知りらしいしな!」
「違うわ!」
海賊の一人がとんでもないことを言い出した。
だが抵抗も虚しく、それは更にヒートアップしていく。
「そうだそうだ!そいつに決まってる!!」
「娘の手を早く切れ!」
「違うって言ってるでしょ!」
(あ〜、もうどうしてこうなるのよ…。)
そんな騒ぎを鎮めてくれたのは以外な人物だった。
「ちょっと待て。」
その人物とは
「ジャック…!」
「確かに長年の呪いに苦しんで、焦るが余りこいつを疑う気持ちはわからなくもない。」
いつも通りの身振り手振りでスパロウは話を続けた。
「だが、こいつはまずビルには似てない。次にお前らが見当つけてきたエリザベスとは歳が違いすぎてる。最後に…、お前より初めにこいつを見つけたのは俺だ、バルボッサ。」
「最後に…」のところからだけワントーン低い声だったスパロウは真っ直ぐバルボッサを見据えた。
「そこんとこお分かり?」
「フン、良いだろう。早速だが誰の血が必要か教えて貰おうか。」
「取引成立だ。」
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Caesar(プロフ) - ティコ。さん» 返信遅れて本当にすみません!!m(_ _)m面白いという御言葉すっごくありがたいです!!ありがとうございます!!!更新頑張りますね! (2018年3月1日 19時) (レス) id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
ティコ。(プロフ) - めっちゃ面白いです!!更新頑張ってください!あと、1つ質問なのですが、名前は固定ですか? (2018年2月28日 12時) (レス) id: e878cfb355 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» 追記:本当にありがとうございます! (2017年8月7日 21時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» あれ見たらファンになっちゃいますよね!その気持ち凄く共感できます!! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
むらなか(プロフ) - 私もパイレーツファンでいつも楽しく読ませていただいてます。更新楽しみにしてます!笑笑 (2017年8月7日 17時) (レス) id: ce8b8b5d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダージリン x他1人 | 作成日時:2017年7月1日 15時