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先程の船員候補全員を合格とするとエリザベスがいるとされる死の島へ再び航海が始まった。



トルトゥーガの港を出てからもう夜になったが船員達は皆、働き詰めだった。



私も勿論手伝ったが、午前中はほとんどウィルやスパロウと船室にいた。



内装は言うまでもなく、やはり豪華だった。




だがずっと部屋に閉じこもっているのは些か息が流石につまったので、気分転換にと甲板へ出ることにした。




部屋から出ると真っ先に頬をなでる潮風が心地良い。




空はさっき見た時よりも夜が深くなっていた。




ここ数日あったことを思い出していると、自然と口元が緩んだので手摺りに頬杖をついて、満月に微笑みかけてみた。




「ヴィクトリア。」



「!ウィル…!?どうしたの?」



いつの間にか背後にいたウィルは私の隣に立ち、手摺に寄りかかった。




「君にとって、本当にこれで良かったのか未だにわからない。」




「きっと良かったのよ。…これで。」



「でも、もしかしたら君はもう戻れないかもしれない。海賊に攫われただけのエリザベスと違って君は…、海賊行為に走ったんだ。」




急に悲しみが押し寄せてきて、私の眼から涙が頬を伝わって海に落ちた。



ウィルは後ろを向いているため、表情は読み取れない。




「エリザベスが攫われた夜の明け方、君が起きる前に海軍の要塞へ行ってきた。提督や総督は君とエリザベスがいなくなったことで相当気が立ってたみたいだ。けど、二人とも君のことを心配してた。それはもう僕なんか比じゃないくらい。」




「ならその分私の悪行(・・)によって提督と総督を困らせてしまったわね。」




私は諧謔を弄して薄い笑いを浮かべた。




「もし、もし君も元の生活には戻れなくて、僕も駄目だったらその時は…二人で海を旅するっていうのはどうかな?」



ウィルの目に、僅かな期待の色が宿る。



この時になって、ウィルはやっと真っ直ぐ私を見た。



「ふふっ。考えておく。」



曖昧に受け流して再び水平線に目を向けた私に、ウィルは少々落胆したが直後、彼の心は僅かな驚きに支配された。


「ヴィクトリア君、眼が…!」



「眼が…?私の、眼がどうかしたの?」


ウィルの興奮した話しぶりに、少なからず私も動揺する。


「一瞬蒼く見えたんだ。気のせいかもしれないけど。」


「ふーん。そう。」



私はそんなたじろぐウィルを横目で見た。


その口元は、緩い弧を描いていた。

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Caesar(プロフ) - ティコ。さん» 返信遅れて本当にすみません!!m(_ _)m面白いという御言葉すっごくありがたいです!!ありがとうございます!!!更新頑張りますね! (2018年3月1日 19時) (レス) id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
ティコ。(プロフ) - めっちゃ面白いです!!更新頑張ってください!あと、1つ質問なのですが、名前は固定ですか? (2018年2月28日 12時) (レス) id: e878cfb355 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» 追記:本当にありがとうございます! (2017年8月7日 21時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» あれ見たらファンになっちゃいますよね!その気持ち凄く共感できます!! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
むらなか(プロフ) - 私もパイレーツファンでいつも楽しく読ませていただいてます。更新楽しみにしてます!笑笑 (2017年8月7日 17時) (レス) id: ce8b8b5d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ダージリン x他1人 | 作成日時:2017年7月1日 15時

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