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ページ38

「でも、私は決めたの。泣いてたってどうにもならない。人はいずれ死ぬし、必ず別れがある。そう思うと泣いても意味がない。行動しないといけないって思ったのよ」

彼女はもう泣いていなかった。

赤ら顔だけれど、笑顔も少し見え隠れしている。

そんな彼女を見て、偉いと思った。自分は何もできないのに、彼女だけ前を見続けている。いずれ置いていかれるだろうが、自分はそれでもいい。僕は僕なんだから。

「ねえ、輝也。あなたの家に行ってもいい?」

彼女の声が元に戻っていた。それなのに、自分の唇はブルブルと震えている。きっと寒いからに違いない。

僕はその質問に「うん、いいよ」と一言だけで返した。

彼女は笑っている。いつものキラキラ輝く笑顔で。

「でも僕の家には……」

父親のことを話そうとすると、彼女は何かを指差して驚きの顔をしている。何が見えたのか気になったので、窓から外を見下ろすと黒い服を着た人がこちらへ向かってきている。あれは一体……。

まさか「バラの伯爵」か?
いや、そもそも遠すぎて見えないから
そうとも限らない。

「A、あれは誰だと思う?」

「わ、分からない……。でも、知っている人だと思う」

彼女は一瞬だけ顔を歪めたように見えたが、それと目を合わせないで窓から離れた。僕はもう一度見たいと思い、また見下ろすとそこには誰もいなかった。

気のせいだったのだろうか?
きっとそうに違いない。

僕はAの後ろについていき、はしごを慎重に下る。はしごをしまっている間に、彼女は1人でスタスタと歩いていく。

「あ、あのさ……」

走っているAに声をかけると、彼女は立ち止まり振り返った。

「なあに?」

「僕は君のことが……好きだ。大好きだ」

何を言っているんだ、僕は。こんなところで告白するなんて、恥ずかしいだけじゃないか。

顔を赤らめて、彼女と目をできるだけ合わせないようにした。

すると彼女はこんな僕をぎゅっと抱きしめて、

「ありがとう……」

とお礼だけ言ってくれた。

それっきり彼女は全く話さなくなった。なぜかは知らないけれど、ただただ照れているのだろうか。いきなり告白してたら、そうなるのも無理はないだろう。

それとも彼女はクロノの方が好きなのかな? 僕のことは嫌いだから、何も言わないのか……。

深い沈黙がずっと続き、話す気力も消え失せた。

6章:銃声→←▽



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設定タグ:名前変換オリジナル , ダークファンタジー , ミステリー   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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美月(プロフ) - 今読んでいる所なので、少しだけお待ちください! (2018年2月18日 15時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - misaki66666さん» 背景を変えるですか……。少し試してみようと思います。過激な表現はできるだけ少なくしたつもりでしたが……その出てくる数は考えていなかったので、参考になりました。感想とアドバイスをありがとうございました。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - 後、少し過激な表現があるお話に、五つ星の内星が○○個、と決めておくと分かりやすいと思います。文なども凄くいいと思います。続編も読んでの感想です。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - こんばんは。「シャニー」が作ったイベントにコメントを頂いた者です。貴方の作品は、とてもいいと思います。ここが悪いと言うなら、まず背景の画像が少し怖いです。もう少し可愛い絵に変えてみてはいかがでしょう。でも本当にこのままでもいいと思いますよ。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» はい、応援してます!^^* (2017年12月18日 20時) (レス) id: 452482f8ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うららk | 作者ホームページ:ないよ  
作成日時:2017年11月27日 21時

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