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「ありがとう、おじさん。僕、『バラの伯爵』を倒しに行ってくるね」
立ち上がってリビングから出ようとすると、バーラさんに右手を掴まれた。
「何を言っておるんだ? 『バラの伯爵』を倒すだと? そんなこと、できるわけないじゃろ」
僕は振り返り、彼の真剣な顔を見るとなんだが聞かなければいけないような気がした。
ソファーにまた座り、彼の話を聞くことにした。
「いいかね。『バラの伯爵』というのは架空の物語なんじゃ」
「架空の物語……ですか。誰が考えたのですか?」
「清水龍太じゃ。彼はずば抜けた才能の持ち主で、1人で子供向け小説を考えたのだ。内容は悲惨なもので、ほとんど出回ることはなかった幻の本だ」
「どんな内容なのですか?」
僕は恐る恐る尋ねてみた。少しだけ興味が湧いたからだ。バーラさんは白いひげをいじりながら、語りかけてきた。
「簡単に言えば黒い服をきた紳士らしき男が次々と人を殺していく話じゃ。心臓を狙い撃ちにするのが、犯人のやり方だった。そんなことをしていたら、ほとんどの住民が殺され1人の少年だけが生き残った。そして1人の少年は最後にこう思った。『次は俺の番だ』ってな」
「最後はどうなったのですか? 少年が殺されて終わりですか?」
「いやいや、意外な終わり方だった。『バラの伯爵』は最後にこう言って終わっている。『君は逃してやろう。遠い遠い地平線の彼方まで走ればいいさ』ってね」
「逃すんですか。なんか意外ですね」
「それが意外でもなかったんじゃ。『バラの伯爵』は実はその少年の父親で、家族には愛があるってことを教えたかったんじゃろうな」
その本を元にした模倣犯はAの父親ということに……。そんなのはあり得るのだろうか? 可能性はゼロではないが、疑う必要もありそうだ。
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美月(プロフ) - 今読んでいる所なので、少しだけお待ちください! (2018年2月18日 15時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - misaki66666さん» 背景を変えるですか……。少し試してみようと思います。過激な表現はできるだけ少なくしたつもりでしたが……その出てくる数は考えていなかったので、参考になりました。感想とアドバイスをありがとうございました。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - 後、少し過激な表現があるお話に、五つ星の内星が○○個、と決めておくと分かりやすいと思います。文なども凄くいいと思います。続編も読んでの感想です。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - こんばんは。「シャニー」が作ったイベントにコメントを頂いた者です。貴方の作品は、とてもいいと思います。ここが悪いと言うなら、まず背景の画像が少し怖いです。もう少し可愛い絵に変えてみてはいかがでしょう。でも本当にこのままでもいいと思いますよ。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» はい、応援してます!^^* (2017年12月18日 20時) (レス) id: 452482f8ee (このIDを非表示/違反報告)
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