▽ ページ25
「いつもこんな生活をしているのですか?」
「ああ、そうじゃ。我々吸血鬼の一族は光に当たってはいけないんだよ」
「で、でもルビルさんは光に当たっても平気でしたよ」
バーラさんはアゴに手を当てて、考えるポーズをしていた。
「それなんだが彼は母親が吸血鬼じゃが、父親が人間のため光に当たっても平気なんじゃよ。しかし、私のようなどちらも吸血鬼の場合はそうはいかんのだ」
つまり彼はハーフってことなのかな? 僕と一緒だったのか。意外だな。
「で、なんの話をしたいのかね? 雑話をしにきただけかな?」
あ、そうだ。あの話をしなければいけなかったね。危うく忘れるところだった。
僕は額を右手で拭い、吹き出る汗を拭い取る。そこには赤い血も付着していた。赤い血のついたその手を下ろして、龍太様に言われたことを尋ねる。
「実は私の父が『新型VHQS-ウイルス症』にかかってしまい、それを治すための薬をもらいにきました」
新型VHQS-ウイルス症とはウイルスが人間の身体にアンモニアを作成して、そのアンモニアを蓄積させるという恐ろしい寄生病であった。それをほったらかすと、死に至るという。アンモニアは人間に不必要なので、危なくないものに肝臓の働きにより変えられるのだが、肝臓が悪い父上にとっては致命的であろう。
しかしバーラさんは腕を組み、うーんと唸り声を上げている。どうすれば助かるのかを考えているようだ。
「いつ頃からその病気にかかっているのかね?」
「1年前です」
「なら助からんよ。もう死を待つしかないね」
「で、ですが薬があれば……」
「薬でも治らんよ。もう手遅れじゃ」
「て、手遅れですか……」
僕は目の下がジーンとなって、涙を浮かべていた。父上が死んでしまうのか。僕がもう少し早く……早くバーラさんと会話していたら直せたかもしれないのに……。
罪悪感に支配されてしまい、周りの音がよく聞こえなくなっていた。けれど、一つの言葉が僕を大きく変えた。
「だがしかし、その菌の原因を撲滅すればこの街には広まらんじゃろう。『バラの伯爵』はその菌をばらまいた張本人じゃ」
僕は一瞬何を言っているのか、理解できなかった。けれど、「バラの伯爵」を問い詰めることに成功すれば何かがつかめるかもしれない。
そう思うと、涙は次第におさまり勇気が出てきた気がする。
3人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美月(プロフ) - 今読んでいる所なので、少しだけお待ちください! (2018年2月18日 15時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - misaki66666さん» 背景を変えるですか……。少し試してみようと思います。過激な表現はできるだけ少なくしたつもりでしたが……その出てくる数は考えていなかったので、参考になりました。感想とアドバイスをありがとうございました。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - 後、少し過激な表現があるお話に、五つ星の内星が○○個、と決めておくと分かりやすいと思います。文なども凄くいいと思います。続編も読んでの感想です。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - こんばんは。「シャニー」が作ったイベントにコメントを頂いた者です。貴方の作品は、とてもいいと思います。ここが悪いと言うなら、まず背景の画像が少し怖いです。もう少し可愛い絵に変えてみてはいかがでしょう。でも本当にこのままでもいいと思いますよ。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» はい、応援してます!^^* (2017年12月18日 20時) (レス) id: 452482f8ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ