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「ぼ、僕は……家の人にこのことを伝えてくるね」
自分はその花畑の近くにあるベランダから靴を放り投げて家の中に入り、泥だらけの靴下のままお構い無しに進んでいく。
いつもの居間へ向かうと(今はAのおじさまの看病部屋だが)、お世話係のリアーナさんが何かに驚いている様子を目撃した。大きな口を開け、震える手で何かを指差している。
「どうかしたんですか?」
僕は不思議に思って、リアーナさんの隣に並ぶと恐ろしい光景を目撃した。
なんと龍太おじさまが殺されていたのだ!
壁に逆さに打ち付けられている龍太様は赤い羽織を羽織った下に白い服を着て、右手にロウソクが握られている。左手には何も持っておらず、上の方を指差している。しかも両腕と心臓と両足にナイフが刺さっているのだ。その床にはバラの花が置いてあり、彼の頭の上にら「∽」という記号が血で殴り書きしてあった。
口から血が垂れていたが、こんな光景は初めて見た。「バラの伯爵」は一体どうしてこんなことをしたんだろうか?
あ、考えている場合じゃない。ここはすぐに警察に連絡しないと!
「リアーナさん、警察官を呼んでくれ。Aのお母様の殺されたので……」
リアーナは慌てふためいて、手を握りしめ何かを祈っているような仕草をしている。声をかけても返事はなく、何かに集中しているように見えた。
こうなるのも無理はないだろうが、どうして犯人は龍太様を殺したのだろうか? 憎かったからだろうか?
僕はもう一度同じことをリアーナさんに言うと、彼女は祈るのをやめて立ち上がる。
「ええ、今警察官を呼びました。もうすぐ来るでしょうね。私は超能力者ですから」
「超能力者……?」
そういえば彼女の家の人はほとんどが超能力者だったっけ? すっかり忘れていた。
「それにこの格好、見たことありますよ。タロットカードの『魔術師』とそっくりですね」
魔術師?
確かにそっくりな気がする。
僕もよく父上とやっていたことがあるが、確かに似ている。しかもこれは逆位置ということは恐らく……
「もしかして犯人は『信用できない』という意味で、この芸術作品を生み出したのかもしれないね。王子様はどう思いますか?」
僕はコクリとうなずいた。その通りだと思ったからである。
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美月(プロフ) - 今読んでいる所なので、少しだけお待ちください! (2018年2月18日 15時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - misaki66666さん» 背景を変えるですか……。少し試してみようと思います。過激な表現はできるだけ少なくしたつもりでしたが……その出てくる数は考えていなかったので、参考になりました。感想とアドバイスをありがとうございました。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - 後、少し過激な表現があるお話に、五つ星の内星が○○個、と決めておくと分かりやすいと思います。文なども凄くいいと思います。続編も読んでの感想です。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - こんばんは。「シャニー」が作ったイベントにコメントを頂いた者です。貴方の作品は、とてもいいと思います。ここが悪いと言うなら、まず背景の画像が少し怖いです。もう少し可愛い絵に変えてみてはいかがでしょう。でも本当にこのままでもいいと思いますよ。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» はい、応援してます!^^* (2017年12月18日 20時) (レス) id: 452482f8ee (このIDを非表示/違反報告)
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