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菜の花に取り残された私はその場で腰を下ろした。ひんやりとした地面がどことなく心地よく、リラックスできた。
けれど友達のクロノが短刀だけを残して消えていったから、少しだけ不安だった。誰かに殺されるのかもしれないし、知らない人に連れて行かれるかもしれないし。
世の中は平和だというけれど、それは他の人間たちが思い込んでいるだけだもの。
私は立ち上がり、菜の花畑を突っ切る。
ボロボロの服にはたくさんの宝石のような花粉がつきまとい、女王気分が味わえるのだが今日はそんな気分ではなかった。
周りにある森へと入っていくと、木々がざわざわと揺れ不気味な空気をかもし出している。
怖くなったのでそこで立ち止まり、縮こまってしまった。何かが出そうで怖かったからだ。
もしかしてクマとか野生のドラゴンとかが出てくるのかも……。襲われたらただ事では済まされないだろう。
「おい、そこに誰かいるのか?」
その声にびっくりして鳥肌がたった。私は急いでその場から立ち上がり、泣きながら走り出していた。あまりの怖さにびっくりしたからだ。
どれくらい走ったのかは知らないが、辺りを見回すと初めて来た場所に突っ立っていた。ここがどこなのか全くわからなくなり、ますます怖さが倍増していた。
父からはこの辺りまでは来てはいけないと言われており、その規則を破ってしまったのも恐ろしかったが、それよりも声の主の正体を考えた方がよっぽど恐ろしく怖かった。
この場所には動物がうようよしているんだよね……。でも帰れないし……。
「ど、どうしよう……」
泣きたくなったけれど、なんとか堪えて振り返ってみた。
ガサガサと草の音を響かせ、草の中から目をのぞかせたのは……
輝也王子だった。
「声をかけただけなのに、逃げやがって。本当に臆病だね」
草の中から出て来た王子の服には木の枝や草などがつきまとい、顔も泥だらけになっていた。
彼は頭をかきながらニコリと微笑み、安心したような顔でホッと胸をなでおろした。
「君が死んでしまったらどうしようって心配でさ。君のおじさまが『菜の花畑にいるはずじゃから様子を見てくるのじゃ』とか言われたから来てみたというのもあるけれど、まさか森の中にいたとはね。想像もできなかったよ」
叔父の
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美月(プロフ) - 今読んでいる所なので、少しだけお待ちください! (2018年2月18日 15時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - misaki66666さん» 背景を変えるですか……。少し試してみようと思います。過激な表現はできるだけ少なくしたつもりでしたが……その出てくる数は考えていなかったので、参考になりました。感想とアドバイスをありがとうございました。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - 後、少し過激な表現があるお話に、五つ星の内星が○○個、と決めておくと分かりやすいと思います。文なども凄くいいと思います。続編も読んでの感想です。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
misaki66666(プロフ) - こんばんは。「シャニー」が作ったイベントにコメントを頂いた者です。貴方の作品は、とてもいいと思います。ここが悪いと言うなら、まず背景の画像が少し怖いです。もう少し可愛い絵に変えてみてはいかがでしょう。でも本当にこのままでもいいと思いますよ。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c4f0e9bc83 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» はい、応援してます!^^* (2017年12月18日 20時) (レス) id: 452482f8ee (このIDを非表示/違反報告)
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