【銀魂】第七師団の人間４【神威】

不味い。 ページ10

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「不味い」

「そんな真顔で言われてもー…起こしても起こしても、起きなかった銀ちゃんが悪いんじゃん？」

持って来てもらった朝食を口に入れた銀ちゃんは顔を歪めている。
予想通り乾燥しきった宇宙のご飯の味は最悪だったようだ。
肉類だけを摘んだ銀ちゃんは野菜を綺麗に残し、箸を置いてしまった。

「…ちゃんと食べないなんて大人気ないなぁ…」

「これ絶対人間が食うもんじゃねェって！犬の餌だろ？」

「金魚の餌だと思う」

「…お前も大概だな」

けらけらと笑い合う。
先程まで頭を蹂躙していた虚しい考えはすうっと跡形もなく去って行った。

銀ちゃんは凄いな。
人の気持ちをこうも簡単に晴らしてしまうのだから。

「それで…どーすんだよ？」

「何が？」

冷めきった紅茶のようなものを啜るが、不味かったのか噎せかけている銀ちゃんが私に何かを問いかけた。
大体の予想はつく。
恐らく今回の依頼についてだろう。

「何って…依頼に決まってんだろ？…ちゃんと２人で帰らねェといけねェんだから」

その言葉に嬉しくなってしまうと同時に重大なことを思い出した。

「そうだ…銀ちゃんっ！接待相手は鬼兵隊所属なんだってっ！」

「…はぁっ！？」

ティーカップをガチャッと乱暴に机に置いた銀ちゃんは目を見開いて食いついてきた。
そりゃあそうだろう。

何しろ銀ちゃんは晋助と対立しているのだから。
銀ちゃんが松陽先生を殺したことにより、晋助は銀ちゃんを恨んだ。
それはもう殺し合いを演じるくらいに。

そんな相手が率いている部隊に所属している人への接待に付き合わされるのは御免だろうか。
確かヅラの話では晋助はまだ鬼兵隊を率いているらしい。
この件に関わればほぼ確実に晋助と衝突するだろう。

「…で？接待相手っつーのは『誰』なんだ？」

「え？」

真面目な顔をした銀ちゃんが問うが、私はそれには答えられない。
そういえば聞くのを忘れていた。
鬼兵隊所属というだけでテンションが上がってしまって、聞きそびれてしまったのだ。

「菉」もそれくらい聞かなくても教えてくれれば良いのに。
いや、教えるべきだろう。
聞いたことしか教えないというのは困りものだと思う。

「ごめんよ…銀ちゃん。聞きそびれちゃった」

「あぁ…顔に書いてあるわ」

「書いてませーん」

私の顔面を机拭きで拭こうとしてくる銀ちゃんの腕に「そうはさせまい」と掴みかかった。
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