【銀魂】第七師団の人間４【神威】

お節介。 ページ48

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戻って来てからそれなりの日が経ち神威のこともまだ違和感はあるが驚いたり、戸惑ったりすることはなくなってきた。
変に意地を張る必要はなく、甘えてしまっていいのだと。
まぁ、それでも抵抗がないわけじゃないけど。

何より、神威が私を特別扱いしてくれるのは嬉しいのだからそれが答えなのだと思うようになった。

私がパニックを起こしかけた時に、「少しずつで良い」と、「ゆっくりで大丈夫だ」と優しくあやすように言ってくれたことが大きかったのだ。
確かに、自分で自覚出来るくらいに私は変なのだと思う。
そしてまた、神威だって普通じゃないのだから何も急いでくっつかなくて良いのだと思えた。

そんな生活と心が安定してきたある日、私はふと思い出した。
雪乃ちゃんのことだ。

牢に繋がれているという雪乃ちゃんの今の状態を私は知らない。
聞こうとも思わなかったし、見に行ってあげようとも思わなかったからだ。

食事は一日に一食、菉が運んでいると聞いた。
しかし風呂も娯楽も何もないところだ。
勿論、身体を温めるものもなければ話し相手もいない。
そんな場所で彼女は一人、何を考えているのだろう。

…自分を刺した奴だから、何より私は嫌われているのだから。
私から出向くなんて必要はないのだろう。

それでも、人は単純なもので自分に余裕が出来るとつい他の者の事情にまで首を突っ込もうとするのだ。

必要ないとわかっているのに、神威に「行くな」と言われているのにも関わらず、私は牢に繋がる扉の前に立っていた。
ここの扉のパスワードもおそらく、私が知っているもので開くだろう。

やはり、引き返した方がいいのだろうか。

会って私は一体どうするつもりなのだろう？
蔑む？
罵倒する？
それとも、同情？哀れみ？

自分でも自分がよくわからなかった。
強いて言うならば、彼女を「可哀想だと思った」からだと思う。
だから私は今この扉の前で立ち尽くしているのだ。

一応、厨房にいる人から菓子パンを数個貰ってきた。
これを渡してさっさと帰ればいい。
話すことなんて別にないのだし。

せっかくここまで来たのだから、何もしないで帰るのは少し気が引ける。

そんなことを悶々と考えながら、数分は経過したであろう頃に中から物音がした。



____掠れた声と、不快な金属音が扉越しに弱々しく聞こえてきたんだ。


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