【銀魂】第七師団の人間４【神威】

消えちゃいたい。 ページ43

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まとめていた髪の毛は乱れ、綺麗に着付けてもらったワンピースも着崩れている。
薄く塗った口紅も薄れてしまっている。

明らかに何かありました、という格好だ。
目をこすってみても間抜け面をした鏡の中の自分と目が合うだけ。
意識すると途端に恥ずかしくなって一気に頬が染まった。

「…あー…もう本当…っ」

「ククッ…まさかあのAがなァ」

恥ずかしくて堪らない。
もう舌を噛み切って死んでしまいたい。
穴の中に埋まってしまいたい。
壁に頭を打ち付けて記憶を吹っ飛ばしたい。

「これで俺達も安泰ってモンだ。お前が居ねェと、うちの団長は使いモンにならねぇからな」

阿伏兎がどこか幸せそうな笑みを浮かべる。
何だかちょっとお父さんのように見えた。
阿伏兎にとっては神威は息子のようなものなんだもんね。
家族のようなもの…それくらい繋がりが深くないとあんなに世話を焼いてあげることなんて出来ないと思う。

「…消えちゃいたい。…本当に恥ずかしい」

どんな顔をしていいかわからない。
こっちを見るのをやめてほしい。
足先はちょっとずつまた冷えてきてるのに、胸のあたりがぽかぽかしてて変な感じで吐き出しそうだ。

目の前の机にゴンっと頭を打ち付けても、やっぱり頭の奥が痛くて現実なんだなぁ…なんて馬鹿なことを思う。
そのうちにさっきの熱がまた身体に戻ってきて、もう頭が駄目になりそうだ。

「おいおい…大丈夫かぁ？」

「五月蝿いなぁ…！阿伏兎達が変なこと言うからでしょ…」

蚊の鳴くような声しか出ない。
精一杯睨んでみても効果がないことなんてわかってる。
だって身体に力が入らないんだもの。
全身の筋肉が震えて、何かの病気なんじゃないかってくらいドキドキしてる。
動悸に息切れ、今日の私は熱でもあるんじゃないだろうか。

「…それより、会場の方は大丈夫なの」

私が気になったのはそこだ。
第七師団に戻ることになったというのに、「もう第七師団はありません」なんてことになっては元も子もない。
先程の騒動でお偉い方が怒っていないといいな。

「大丈夫だと思うかァ？…まぁ、今回はお前を取り戻すことが第一だったからなぁ…」

少し宙を眺める阿伏兎の目の焦点は合っていない。
きっとこの後、この件の処理やペナルティーの仕事に追われることになるんだろう。

そうまでして私を取り戻そうとしてくれたことが嬉しいだなんて不謹慎だろうか。
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