【銀魂】第七師団の人間４【神威】

失礼。 ページ5

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「…彼方の方は？」

「あー、いーよいーよ。起きないだろうからさ」

やっぱり地球のご飯の方が数倍美味しいな、なんて作ってくれている人に失礼なことを思いながら私と「菉」は向かい合って朝食を食べていた。
いや、「菉」は食べていないのだが何故か部屋から出ていく気はないらしく、私の向かいに座って紅茶を啜っているのだ。
無駄にお洒落というか女子力が高いというか。

銀ちゃんは一向に起きる気配を見せない。
微動だにしないのだ。
死んだように眠っていて呆れるを通り越して心配になってきてしまう。
宇宙について来てもらったのは流石に無理を言い過ぎたのだろうか。
それが原因なのかと考えると胸が少しだけ痛んだ気がした。

「ところで、何故貴女様は此処を出て行かれたのですか？」

「…ん？」

コトン、とティーカップを置いた「菉」はその何を考えているのかわからない双眼で私を見つめていた。
この人は私が出て行く前に何があったのか知らないのだろうか。
知らないなら教える気はないし、あの話をするのは如何も気が滅入ってしまうのだ。

そんなことを考えていた私は眉間に皺が寄っていたのだろう。
私の眉間を人差し指で「菉」が押さえた。

「…皺寄ってますよ。
勿論あの遊女と何があったかは存じ上げておりますが、貴女様は寧ろ『かかってこい』という謎のスタイルを突き通す方だと聞いていたので」

「…彼処で私が逃げたのが謎だってことかな？」

「そういうことになりますね」

質問に益々眉間の皺が刻まれた。
私は決して弱くはないが、そこまで強い人間ではない。
執着がないというだけで弱いところを突かれれば簡単に崩壊するし、逃げだってする。
一体私を何だと思っていたのだろうか。
人に情を抱かない冷徹な人間だとでも？
そうだとするならば、失礼過ぎやしないだろうか。

まぁ、「菉」の素性を知らない私が勝手にこんな風に悪く思うのだって失礼に当たるのだろうけれど。

「あぁ、別に貴女様を『情のない人間』として認識しているわけではありませんよ。
ただあのような下劣な女の策に嵌るような方だとは思っていなかったのです」

「要するに思っていたよりも間抜けだったとぉ？」

何なんだ此奴は。
読心術の使い手か。
私が思っていたことをカバーするかのような発言に驚いたが、失礼なのに変わりはない。
私はあまりそういったことを気にするような人間ではないが、初対面でも遠慮しない「菉」の性格に違和感を覚えた。

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