【銀魂】第七師団の人間４【神威】

変化。 ページ33

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如何してこうなったか、なんて私にわかる筈もなくただただ時間だけが過ぎていった。
あれから「団長」さんは私を攻撃するでもなく、解放するでもなくずっと同じ姿勢を取り続けている。
偶に耐えきれなくなって身体を捻ってみても無反応、呼び掛けにも全く耳を貸さない状態が続く。
少しの身動ぎと、耳元で聞こえる浅い呼吸だけがまだ「団長」さんに意識があることを伝えていた。

「………『団長』さん、『団長』さん」

身体は少し前に悲鳴を上げた。
背骨がそろそろ折れてしまいそうだ。
背後に回された腕で持ち上げられている背中の中腹も痛い。
せめて横向きにならせてはくれないだろうか。

「…ねぇ、何でそんな寂しい呼び方をするの？」

突然耳元で聞こえた低い声に驚いた。
寂しい呼び方、というのは「団長さん」のことだろう。
前みたいに名前で呼ぶとでも思っていたのだろうか。
私には感情が存在しているし、それはまだ何でも許容出来るような大人なモノに育っている訳ではない。
私の中には軽くトラウマになりかけた貴方と遊女の関係がはっきりと形を残して存在している。

私をあんなに苦しめた出来事なんだ。
忘れる訳がない。

「……名前で、呼んでよ」

それなのに貴方が余りにも苦しそうにするから。

会わない間に一体何があったというのだろう。
前までのあの人はこんなに弱々しく私に手を伸ばしたことはなかった。

…いや、銀ちゃんの元から連れ帰られたあの日から少し顔を出した「団長」さんの雰囲気に今の彼は似ている。
甘えるように触れ合いを求めてくる彼に。
そう考えると、「団長」さんの身体が少しだけ震えているのに気が付いた。

あの時の手の震えと同じだ。

「………、神威」

そっと背中に手を回して名前を呼べば、私の拘束は更に苦しいものに変わった。
ぎゅっと思い切り腕に力を入れられ、身体の彼方此方が軋む。
その痛みから逃れるように身体を伸ばし、何かに怯えたような「団長」さんの広い背中を撫で続けた。

私でも包むことが出来るこの背中の上には一体どれだけの「重り」がのしかかっているのだろう。

逃れることを考えていたクセに背中に手を回して仕舞えば、今はそれよりも「団長」さんを落ち着ける為に抱き締める自分が居た。

前よりも熱を持った彼の身体にくっ付くのはとても心地が良かった。

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