重たい。 ページ32
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同じような通路を担がれたまま通り抜け、漸く辿り着いた一室のソファに放り投げられた。
少し軋んだソファは会場で座っていたものより遥かに柔らかい。
恐らくこの部屋はお偉い方が第七師団の待機室として与えた部屋に違いないだろう。
入り口に「第七師団様」という札が掛けてあったから。
綺麗に装飾されたこの部屋は団長や副団長には似合わないな、なんて失礼なことを考えることもいよいよ出来なくなりそうだ。
先程ははっきり天井が見えていたのに、今は「団長」によって遮られてしまった。
身体の力を抜くことは許されない。
今この人は何をするか全くわからない状態にあるから。
私の上に跨って覆い被さっている「団長」さんを刺激しないのが得策。
彼が殺そうと思えばすぐに首を掻き切られる。
例えば、この状態を先程のように拒否すれば殺されるだろう。
まぁ…流石の私もそれくらいは理解出来る。
問題はこの状況から抜け出せないことにあるのだ。
何が目的なのかわからない以上、私に成せる術はない。
余計なことは出来ないし、かと言って動かなければ現状打破は不可能。
こうなるのならレッグストラップに隠しておいた小刀をまだ残しておけばよかった。
使うタイミングを明らかに見誤ってしまったらしい。
刀がない以上私がこの夜兎に敵う術はない。
素手で遣り合おうなんて男前な根性は持ち合わせていない。
「…『団長』さん」
括られていない長い髪が首元に当たって擽ったい。
そんな風に首元に顔を埋められると身体がぞわぞわして、今すぐにでも突き飛ばしたくなってくる。
時々首元で顔をもぞもぞと動かすのも本当にやめてほしい。
そして何より重たいのだ。
この人の腕は私の背中に回っていて体重が私にかかる状態にある。
私とは比べ物にならない程の筋肉量を誇る「団長」さんの重みに私が耐えられるわけないだろう。
程よく引き締まった、と言っても1人で戦場を駆け回って全滅させて帰ってくるような奴を私が支えられるわけがない。
私はこの人と違って少し繊細に出来ているのだから。
このままのしかかられていては骨が折れてしまうのではないか、という発想に陥るが逃げ出す術は当然ない。
今はただこの状態に耐え続けるしか私に道はないらしい。
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*Shino*(一応受験生)(プロフ) - マリーさん» またまたお久しぶりです。もうすぐ冬休みということで、また復活してみました笑 前までのように定期的に更新できるわけではありませんが、時間が取れそうな時に話を作っていきたいと思います! (2017年12月18日 13時) (レス) id: 857fd7727f (このIDを非表示/違反報告)
マリー(プロフ) - *Shino*(一応受験生)さん» 覚えてくれていただなんて(滝涙)大変ですよね!体育祭だとか私も最近ありました!ちょっと遅い地域で。ここの神威も夢主ちゃんも作者さんも皆好きです!頑張ってください!ずっと応援してます!お忙しい中返信ありがとうございました! (2017年10月2日 1時) (レス) id: 5afa144aee (このIDを非表示/違反報告)
*Shino*(一応受験生)(プロフ) - マリーさん» 覚えてますよ!大分初期の方にコメントをくださった方ですよね…?復活しようと思ってたんですが…体育祭のある週に外部テストが連日…からと定期テストと鬼畜なスケジュールに挟まれてこちらに手が回らない状態です(>人<;) (2017年10月2日 0時) (レス) id: 857fd7727f (このIDを非表示/違反報告)
*Shino*(一応受験生)(プロフ) - ふぅさん» ありがとうございます!ここから少し変化後の日常を挟んで、吉原炎上篇に入るつもりなんです…!根気があれば洛陽篇もやりたいんです(願望)← (2017年10月2日 0時) (レス) id: 857fd7727f (このIDを非表示/違反報告)
*Shino*(一応受験生)(プロフ) - ミリアさん» 閲覧ありがとうございます!今は学校行事諸々で申し訳ないですがこちらに手が回りそうにないです…受験が終わり次第、更新出来るように頑張りたいと思います! (2017年10月2日 0時) (レス) id: 857fd7727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*Shino* | 作成日時:2017年1月25日 19時