【銀魂】第七師団の人間４【神威】

お届けモノ。 ページ31

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「…ふぅ」

団長が彼女を連れ去ったのを見て、やっと身体の力を抜くことが出来た。
自分にあの狂気が向くことはまずないとわかっていても、身体は自然と強張る。
この場に居る全員があの狂気に飲まれたのだから。

あぁ…でもあの人はあんな中でも相手の命を狙って刃を向けていたっけ。

ぼーっとしか見ていなかった先程の出来事を思い返して居たとき、脇腹で何かが身を捩った。
攻撃されては困るので、先に武器となる木刀は抜き取っておいた。

「……離せよ」

「受け止めてあげただけ感謝して下さい」

そう、急に私の方に飛んで来た銀の毛玉だ。
咄嗟のことだったのでつい受け止めてしまったんだ。
私が受け止めていなかったら彼方此方の骨が折れていたことだろう。
もう少しは感謝したら如何なんだ。

何とか私の腕から抜け出した銀髪のくるくる頭を彼方に向かわせる訳には行かない。
向かったところで殺されるだけだと思うし、計画が頓挫すると怒られるのは私だから。

走り出しかけた奴の脚に自分の脚を引っ掛けて盛大に転ばせた。

「…っ何すンだよっ！？」

「早く乗って下さい」

ギロッと睨まれたが、先程のアレに比べればなんてことはない。
無視して無理矢理銀髪を小型宇宙船に押し込んだ。
反抗されたところで、夜兎と人間だ。
素手同士で人間が勝てる筈がない。

「まだ、まだAが乗ってねェだろ！」

早速運転席に乗った私に必死に抗議してくる。
その必死な様子から彼女が如何に大切にされているのかを察することが出来たけど、少し、と言うか大分鬱陶しいな。
静かに乗っていてほしい。
エンジンを起動させようとしたところ、顔を一発殴られそうになった。

怖い怖い。
イラっとしたから思いっきり鳩尾を殴り返してやると意識を失った。
たった一発で気を失うなんて情けない奴だな、なんて思いながら運転を再開する。

多分、死んではいないと思う。

私だってそのくらいの加減は出来るから。
…死んでいた時は地球の山にでも埋めておこう。

途中、目の端に映った紫色の色気男と顔を合わせると「何だ、そういうことか」という顔をされた。
如何やら「如何いうこと」かわかったらしい。
察しの良い男…いや、上司様だ。

一つ会釈をして地球にこのお届けモノを届ける為に、宇宙へ漕ぎ出した。
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