【銀魂】第七師団の人間４【神威】

命日。 ページ29

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もう後は刃で首を落とすだけ。
きっと今の「団長」は感覚か何かが鈍ってる。
私だけでも勝てるかもしれない。

事実、私の刃は「団長」の喉を捉えていた。

後少し前に押せば突き刺さる距離に刃はあった。


「…な、んで…そんな顔してるの…？」


だけど、狙いの喉の上から見える「団長」の顔を見て刃が途中で止まってしまった。

今、この人は私に殺されかけてるんだよね？

何で目を細めて笑ってるの。
何で少し嬉しそうにしているの。
いつもの気持ち悪い笑みは一体どこへ行ったの。

初めて見る「団長」の柔らかい笑みの意味がわからず、私は混乱した。
カシャン、と小刀が私の手からすり抜けて落ちる音がする。

スッと団長の顔が近付いてきて肩がびくっと震えた。
大分気味が悪い。
私は確実に殺しに掛かった筈なのに、この「団長」は殺すでもなく、咎めるでもなく見たことのない笑みで笑っていた。

首元に触れる髪の毛が擽ったくて身体がさらに強張る。
一体私は今、何をされている？
攻撃してくる様子はないので、安全なのかもしれないがこれはこれで全く安全じゃない。

真意の読み取れない行動は恐い。
何されるのかわからないのは恐い。

びくびくと震える足元に力を入れて、私の首筋に頭を置いた団長を突き飛ばそうと思った。
多分、今の「団長」くらいなら私でも簡単に吹っ飛ばせる気がしたから。
早くこのわけがわからない状況から抜け出したい。
少しだけ晋助と銀ちゃんの気持ちがわかった気がした。

肩を押すべく、そーっと両手を上げたとき、

「…逃げるの？」

と、耳元で前も何度か聞いた低音が聞こえた。

私はそれを否定も肯定もせずに、ただ「団長」の肩を押した。
やっぱり全然力は入っていなかったので私でも簡単に押すことが出来た。
…また先程と同じ無表情に戻った「団長」の狂気は私の背中にもぞわぞわと伝わってきた。

「…『だんちょっ…っ！？」

ぐらっと視界が揺らいだかと思えば、いつの間にか「団長」の肩の上に担がれていて。
ぱたぱたと手足を動かしてみても手応えはなし。
きっと抗議しても無駄だ。
本当に今日が命日なのかもしれない。


神様…私、何か悪いことしたかな…？


何処かへ歩き出した「団長」の肩に担がれたまま見えた背後では「菉」が銀ちゃんを受け止めていた。
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＊→←死にたくない。

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