【銀魂】第七師団の人間４【神威】

無機質。 ページ27

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時々背後から「狂気」が追って来ていないか確認しながら艦内を３人で走り回ったが、全く気配はなかった。
私達を追いかける気はないようだ。

何だか安心したような悔しいような…虚しいような不思議な感覚に陥るが、私の両手を引く２人の背中を見ればもう大丈夫。

先程までの口喧嘩は馬鹿らしくなったらしい。
しかし、口喧嘩が止めば止んだで少しばかり空気が重たい気もする。
まぁそれは当たり前のことだと思う。
銀ちゃんと晋助は敵対しているから、仲良くなんて出来る筈がない。

事情が事情だから私も何も言うことは出来ない。

本当に広い艦内を無言で走り続けるのはキツいものがあるが、やっぱり昔の仲間といるのは結構精神的に楽だった。
２人は居心地が悪くて悪くて堪らないだろうが、重たい空気の中１人背後で顔を綻ばせる私は握られている手をぎゅっと握り返した。

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「…あの角を曲がれば」

やっと宇宙船駐留場に着くらしい。
晋助も銀ちゃんも出来るだけ早くこの状況から抜け出したいと焦る横顔に書いてあった。
此処に来るまでに会場から出ていた天人に追いかけられたり、半ば上に報告に行こうとした部下を殺しそうになるなんて場面もあったけどもう大丈夫。


____銀ちゃんと一緒にまた地球に帰ろう。


お代は後で阿伏兎に請求すれば多分大丈夫。
言い値で買ってくれると言っていたし、この非常事態発生分も上乗せして請求してやろうか。

１人でにやにやと可愛らしいとは言い難い笑みを浮かべていると、

「…その顔やめろ」

と晋助が頬をぶにゅっと潰した。

この「話」が終わったらきっと晋助も地球に帰って来る。
そうなった時は喜んで酒でも酌み交わそうではないか。
短い時間の再会の御蔭で心が浮き上がり、顔がまた綻んだ気がした。

「ほら、行くぞ」

そんな私達を見て、銀ちゃんが腕を思い切り引っ張る。
「さようなら」も「ありがとう」も言う筈もなく晋助に背中を向けた銀ちゃんに引き摺られるようにして晋助に手を振った。

体勢を立て直して前を見れば「菉」が予定通り小型宇宙船の前に立っていてくれている。
やっぱり仕事は面倒臭がりながらも熟すタイプの人間のようだ。
「菉」に頼んでおいてよかった。
背後は振り返らずに数メートル先の小型宇宙船の方へ足を向ける。


「見つけた」


やっと地球に帰れるという安心感はその何処か無機質な声によって一瞬で吹っ飛んで行った。



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