【銀魂】第七師団の人間４【神威】

反抗の眼差し。 ページ15

__________________________________________

「阿伏兎、今回雇った子は随分と可愛いネ」

「…っあァ、そうだろォ？」

いきなりの俺の問いに少し言葉を詰まらせた。
まぁ、最近碌に話していなかったからネ。
驚くのは当然かもしれないな。

二階席の柵に凭れ掛かりながら会場内の人々に視線を遣る。

ボディガードと共に警戒しながら辺りを見渡している少女は何とも可愛いらしい。
うちが雇った接客要員だ。
雇ったにしては、初々し過ぎて周りからすれば疑問でしかないだろう。
にも関わらず、阿伏兎は「此奴が一番信用出来るから」とか言ってたっけ。

俺もそうだと思うヨ。

この為にわざわざ普段は絶対にしない御粧しまでしちゃってさ。

いつもより血色の良い頬にはきっと頬紅でも塗っているのだろう。
あぁ、口紅も塗られているのカナ。

普段も綺麗だとは思っていたけれど、化粧をすればこれもこれで違う魅力が醸し出されていて良いネ。

元々華奢で白い身体のラインにはっきりと沿っているワンピースも似合っていると思う。
黒い髪の毛は下ろしている方が俺は好みだけれど、結い上げられていれば美味しそうな白い頸が見える。

まるで人形のように美しい「彼女」は俺のお気に入りだ。




________トクンッ

胸の奥で何かが胸板をノックする。
そっと胸に手を当てても、何らいつもと変わらない心音が伝わってくるだけ。

きっと、「彼女」が近くに居るからだネ。

こんなに気分が高揚するのは何時振りカナ。

_____多分、君が出て行ったあの日以来だ。

君が俺を置いて出て行ってしまったあの日以来。

あの日、俺は滅多にしない「後悔」というものを経験したんだっけ。
虚しくて虚しくて虚しくて。
何かがすっぽりと抜け落ちて、何かを思うのも面倒になっていたというのに、今こんな風に物思えているのは、

きっと、近くに居る「彼女」の御蔭。

愛らしい「彼女」を見失わないように見つめていると、いつの間にか彼女は二階席に近いところまで来ていた。









__________ドクンッ


急に息が止まりそうな程、大きく脈打った胸。
それは、「彼女」が俺を見つめ返しているから。


あぁ…俺はその目をよく知っているヨ。

今、少女が俺に向けている目は間違いなくあの目だ。

ずっと前から変わっていない、




______________「反抗の眼差し」。





__________________________________________

的中。→←会場。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す