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「__ただいま〜」
午前8:00
家に帰るとまだコウくんは寝ているのか、リビングには姿が無かった。いつもだったら休日も早起きして、ニュースを見るか新聞を読んでいると言うのに。
不思議に思いながらとりあえずリビングに荷物と上着をソファにかけて部屋に向かおうとすると、自分の部屋から物音が聞こえた。
「…コウくん?」
ゆっくりとドアを開けると、そこにはやっぱりコウくんが居た。
「…なにしてるの?」
「なんで連絡しないの?」
「え、ごめん…寝てると思って、それで____」
ドアを全部開けきって部屋の様子が見えたと思えば、そこには私の散乱した私物たち。
「お前、もう絵描かない方がいいよ」
「え、ちょっと、なにこれ…」
散乱した私物の中には液晶の割れたパソコンやもう使えない姿の画材、ビリビリに破かれた作品もあった。
「こんな人気が出て忙しくなるなら、
一生人気が出ないままでよかった、A。
俺の事一番に考えてくれてたAはどこ行ったんだよ」
絶句だ。言葉すら出ない。
自分の部屋に置いてあるのは仕事ではつかわないものばかりで、不幸中の幸いか仕事道具は全てkinggnuでの仕事場に持っていっているが…
「ここにあるのは全部私の思い出だよ…、コウくん、私にもう絵描いて欲しく無いって事?」
「そう。俺、充分稼いでるしAが働かなくても遊んで暮らせるぐらい出世したんだよ。
だから前みたいに暮らそうよ、A」
呆れて言葉も出なかった。
「…出ていくね、今までありがとうコウくん」
「っ、ちょっと待てよ!」
「なにっ、__痛っ…」
腕を掴まれそのまま強引に引かれたせいで尻もちをついて転けてしまった。
「なんで俺の言うこと聞けねーんだよ、家賃だってずっと俺が払ってやってただろうが!」
「家賃払うから一緒に住もうってコウくんが言ったんじゃん!私は最初から払えないって断ってたよ!それに今は折半してるじゃん!」
「恩を仇で返すのかよ、金の工面は何でもしてやっただろうが!」
「っ…」
突然頭がぐわんと揺れたと思えば、頬がじわじわ痛みを増してきた。殴られたんだと理解すると、彼がいきなり怖くなって手に力が入らず足がすくんだ。
逃げないと、逃げないと。
力が入らない手と足を無理やり動かして逃げようとすると、また体を押さえられる。
「待てよ、」
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩(^‿^)۶ (2月5日 2時) (レス) @page12 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーご | 作成日時:2024年1月30日 4時