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メールで送られてきた店に到着した。本当に来てしまった。コウくんには仕事のトラブルだと嘘をついた。

大希さんに着きました、とメールで送ろうとスマホを操作していると店のドアのベルがカランカラン、と音を立てた。


「よ、お疲れ」


出てきたのは大希さんだった。


「ごめんなさい、遅くなっちゃいました」

「いや、俺こそ迎えに行ってやれなくて悪かった」


申し訳なさそうに自分の頭を掻く大希さん。


「私もこんな格好で着ちゃいましたし...あっ」


部屋着に上着を羽織った自分の格好を見て、ハッとした。
自分の目線からでも見える胸元の新しい赤い跡。


「......」


何も言えずに、大希さんから目を逸らす。
お昼に会った時から増えているキスマークを彼になんと説明すればいいのか。否、説明するまでもなく”そういう事をしてきました”という印になってしまう。


「まぁ、良いことじゃねえの?」

「絶対思ってないでしょう、それ」


皮肉混じりにそんなことを言ってけらけらと笑う大希さん。肌寒い風がびゅうっと吹くと、「入るか」とドアを開けてくれた。

静かめだけれどお客さんは多く賑わっている店内。大希さんの後を追い、カウンター席を超えた奥の半個室へと歩いていった。



「あらら...」


「Aちゃんが来るって言ったら喜んでそのまま潰れた」



席につけば、テーブルに突っ伏して気持ちよさそうに寝ている井口さん。



「おーい、理、Aちゃん来たぞ」


「ん、うそ...ほんとだ、Aちゃんだ」



目が開いているのか開いていないのかよく分からないが、私の顔を見て井口さんはにんまり笑った。井口さんの隣の席に座ると店員さんがおしぼりを持ってきてくれて、注文を聞かれたのでとりあえず生ビールを頼んだ。


「俺もおかわり...」

「やめとけ」


向かいの席に座りながら「すんません」と店員さんに謝る大希さんと落ち込んでまたテーブルに突っ伏してしまった井口さん。


「井口さん、拗ねないで」

「Aちゃーん...」



目をこする井口さん。泣いているのか鼻をすする音も聞こえる。


「どうしたんですか?」


事情を聞けば、何年も付き合った元カノが別れてからスピード婚をしたらしい。


「いつ結婚したんですか?」

「...半年前」

「ええ、未練タラタラですね」


なんでだよお、と泣く井口さんと
飽き飽きしたように無視してお酒を飲み続ける大希さんだった。

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(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩(^‿^)۶ (2月5日 2時) (レス) @page12 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーご | 作成日時:2024年1月30日 4時

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